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ベッテルは引退?それとも移籍か?

先日、既報の通りベッテルのフェラーリ離脱がベッテル本人とフェラーリの両方から正式に発表されました。

こういう報道では噂が先行し、なかなか正式発表されないことが多いのですが、今回はあっさりと公表されました。これは来年以降の予算や体制面で不確定要素が多いので、ドライバーの契約を優先したいというチーム側の事情と同じくドライバーも普通はシーズンを進めながら交渉するのですが、そのシーズンがいつ開幕するかもわからない状況でもあり、早めに来年のシートを確保したかった思惑が一致したのだと思います。

そしてベッテルの後任はこれも既報とおりマクラーレンのサインツJRとなりました。

来年契約可能なドライバーで一番実績と経験を持つリカルドは、ルクレールがNo.1ドライバーとなるフェラーリへの移籍を嫌ったのだと思います。でなければわざわざレッドブルを出る必要はなかったですからね。

そのリカルドはサインツJRが抜けるマクラーレンへの移籍が決定しました。ルノーはコロナウィルスの影響で経営状態が悪化しており、今後の継続参戦が保証されなくなってきているので、移籍するのは自然な流れです。昨シーズンのルノーはトラブル続出で、リカルドはかなりフラストレーション溜めていましたからね。

ではベッテルはどうするのでしょうか。今の時点でベッテルは引退を表明していません。ベッテル自身も老け込むには早い年齢なのでやめることは考えにくいです。とはいえ来シーズン空いている競争力がありそうなシートはない状況です。

レッドブルもフェルスタッペンに高額の報酬を支払っているので、ベッテルと契約する余裕はないと述べていますし、そもそもルクレールがNo.1格でそれが嫌で契約しなかったベッテルですから、フェルスタッペン中心のレッドブルへ行くくらいならそのままフェラーリと契約すればいいので、レッドブルと契約するというのもないでしょうね。

そうするとリカルドがいなくなった後のルノーしかシートが残されていません。ではベッテルがルノーと契約するかですよね。確かにルノーはワークスチームですし、ベッテルの4度のチャンピオンは全てルノーエンジンで達成されたものです。そう考えると悪くはないはずですが、最近のルノーチームはなかなか上昇の機運が見えてないのも事実です。

ベッテルにとって一番の問題はどのチームも財政的な余裕がないことです。確かに予算制限は来年からですが今年収入が減っている以上、追加の費用を支払うのが実質上困難であると言うことです。

減収を受け入れることができればベッテルはルノーと契約可能だと思います。お金に困っていないベッテルですが、サラリーはイコール、ドライバーの評価というのがこちらの考え方ですから、あとはベッテルの気持ち次第です。

一部報道にはルノーがアロンソにオファーしていると言われていますが、アロンソが競争力のないマシンには乗りたがらないことや40歳という年齢を考えるとルノーがベッテルを優先しているのは間違いありません。アロンソはあくまでベッテルがダメだった時のための交渉だと考えるのが普通です

もし上記の条件を受け入れられなければベッテルは引退となるでしょう。それでも4回ワールドチャンピオンになったわけですから、引退したとしても不思議ではありません。

F1は厳しく速いドライバーが偉いという単純な世界です。ルクレールに勝てなかったベッテルはもう旬なドライバーとは見られていません。あのシューマッハーですらライコネンに追われるようにして引退した世界ですから。

正直、ナイスガイのベッテルがF1のパドックからいなくなったらさみしいですから、来年以降もどこかでドライブして欲しいですよね。

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