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あまりにも強いメルセデス ハンガリーGP観戦記

第三戦目なんですが、サーキットは二つ目という変則的なF1シーズン。
しかしそんな変則的なシーズンですが、やはりというかハミルトンの圧勝でした。
 
本来、ハミルトンに挑戦しなければ行けないボッタスは、スタートで大きく出遅れ1周目には6位にダウン。
このスタート失敗の原因はボッタスがスタートシグナルが消える前に、ダッシュボードにあるライトが消えて、それに反応した為でした。
普通ならシグナルが消える前に動けばフライングスタートでペナルティなんですが、F1ドライバーってすごいですよね。なんと一度動き始めたボッタスのメルセデスですが、すぐに反応してボッタスはマシンを止めました。
 
普通1回動かせたら止まれないですよ。本当にF1ドライバーの反応速度ってすごい。
ちなみにグリッド上にはセンサーが設置されていて、それより前に移動しなければフライングには取られないのです。
ただ一度動いて止めたので、当然その直後にシグナルが消えたときには適切な回転数を保ててなくて、アンチストールモードに入り、スタートは大失敗となり大きく順位を落とします。
 
こちらの動画にその一部始終があるので、ご覧下さい。
 
普通なら抜きにくいハンガロリンクなのでボッタスの表彰台は無理かと思われたのですが、今年のメルセデスはとにかく速くて強い。
瞬く間にボッタスは4位まで上がりますが、その後しばらくはストロールを抜きあぐねます。そしてこれが最後にフェルスタッペンに追いついた時に影響します。
 
ボッタスは33周目にピットインしてミディアムタイヤに交換します。これでストロールをアンダーカットして3位に上がります。前を行くのはフェルスタッペン。フェルスタッペンは36周目にタイヤを交換してボッタスの7.2秒の前で戻りますがボッタスの方がペースが速く45周目にはフェルスタッペンの1秒後方まで追い上げます。ところが49周目には2台の差は2秒に広がります。実はこの時ボッタスのタイヤはプッシュしすぎたことにより、グレイニングが発生していて、かなり苦しい状態でした。またハンガロリンクはトリッキーなコースなので、前のマシンについて走るとダーティエアーの影響で速く走るのが難しくタイヤも酷使することになります。
 
そこでメルセデスは49周目にボッタスにタイヤ交換を指示します。まるで昨年ハミルトンにタイヤ交換させ、フェルスタッペンを逆転したかのように。そしてそれはうまくいきそうでした。しかしボッタスはハミルトンではありません。残り2周でフェルスタッペンのDRSゾーンに入ったボッタスでしたが、それ以上近づくのはこのコースでは無理でした。
 

 
フェルスタッペンはボッタスに追われているときも、タイヤをケアしながら走っていて、最後までタイヤはいい状態を保っていました。結局、フェルスタッペンは2位をキープしてフィニッシュできました。ただこれはボッタスがスタートで失敗したという幸運と、レーシングポイントがとても速くボッタスが彼らを抜くのに手間取った要因があったことを忘れてはいけません。
 
実際、ハミルトンは予選でも決勝でも3位以下を寄せ付けませんでした。フェルスタッペンがタイヤ交換前の34周目にもうタイヤが厳しいと無線で叫んでいるとき、ハミルトンはなんと1秒も速いタイムを記録していました。つまりハミルトンは全然プッシュしておらず、余裕を持った走りでした。ハミルトンは最後に2位のフェルスタッペンと20秒以上差があったのでタイヤ交換し、ファステストラップを狙いにいきました。しかしこの時もハミルトンは無理にプッシュはしなかったと述べています。それでもファステストラップを出せる今年のメルセデスの底力には驚くばかりです。
 
正直、連戦が続く今年のF1カレンダーで誰もメルセデスに追いつける予感がしません。今のレギュレーションが始まった2014年と2015年は確かにメルセデスが独走でしたが、その後性能差は縮まって来て接戦が増えてきていただけに、今年の彼らの速さにはかなりの衝撃を受けています。レッドブル・ホンダは彼らに追いつくことができるのでしょうか。