Formula Passion

モナハンが語るレッドブルの進化と未来:グラウンドエフェクトとフェルスタッペンの才能

レッドブルのチーフエンジニア、ポール・モナハンが語った内容を中心に、レッドブルの技術的進化と現在のF1における支配的な立場について見ていきたいと思います。モナハンは、2024年シーズンに向けた競争の激化を予測しながらも、レッドブルが依然として他チームを凌駕し続けると自信を持って述べています。彼はフェラーリやメルセデス、マクラーレンといった名門チームと比較し、レッドブルは比較的新参者でありながらも、これまでの成功によってF1のトップに君臨していることを強調しました。

Oracle Red Bull Racing Head of Car Engineering Paul Monaghan

レッドブルの技術的成功の背景

レッドブルの成功の大きな要因として、モナハンは「グラウンドエフェクト」技術に焦点を当てています。2022年に導入された新しいレギュレーションにより、全チームがグラウンドエフェクトに基づいた設計を採用することとなりましたが、レッドブルはこの技術において他チームよりも優位性を持っていたと述べています。モナハンは、グラウンドエフェクトを利用するためには、車体を地面に近づけるだけでなく、安定性を維持することが重要であると説明しています。2022年シーズンで多くのチームが経験した「ポーポイズ現象」(車が上下に揺れる現象)に対して、レッドブルはこの問題をうまく抑え込み、他チームよりも優れた安定性を実現したと指摘しました。

特に、レッドブルは他チームと比べて、車の挙動の微妙な違いをうまく理解し、それを競争力に変えているとモナハンは語っています。彼は、この理解の深さがレッドブルのパフォーマンスの鍵であり、他のチームとの明確な差を生み出していると述べました。これにより、レッドブルは他のチームが解決に苦労している問題を迅速に克服し、2023年も優位を保っていたと分析しています。

マックス・フェルスタッペンの卓越した才能

モナハンは、マックス・フェルスタッペンが現在のF1ドライバーの中で特に際立っている点として、彼のドライビングスタイルと技術的な洞察力を挙げています。フェルスタッペンはコーナーの限界点を非常に高い精度で見極め、わずかなオーバーステアやアンダーステアも巧みに制御し、安定した走行を続けることができるとモナハンは評価しています。この能力が、彼が他のドライバーとの差をつける要因の一つであり、特にレッドブルのマシンを最大限に活かすドライビングにおいて重要だと述べています。

また、モナハンはフェルスタッペンが持つ「解析力」にも言及しています。彼のフィードバックは、コーナーごとの細かな挙動を分析し、どの部分でタイムを削ることができるかを冷静に判断する能力があるとしています。これにより、フェルスタッペンはレース中の状況変化にも柔軟に対応し、常に最大のパフォーマンスを引き出しているとモナハンは強調しました。

具体的な例として、モナハンは2016年スペインGPでのフェルスタッペンの初勝利を挙げ、その冷静さと成熟したドライビングに感銘を受けたと語っています。彼はその時、キミ・ライコネンの猛追を受けながらもフェルスタッペンが全く動揺せず、見事な勝利を収めたことを振り返り、彼の強さを称賛しました。また、2023年のマイアミGPでも、予選でのミスを乗り越え、レースでは完璧な走りを見せたフェルスタッペンの冷静な判断力を評価しています。

Race winner Max Verstappen and Red Bull Racing Head of Car Engineering Paul Monaghan celebrate in parc ferme during the F1 Grand Prix of Hungary at Hungaroring

レッドブルの2つの支配時代の比較

レッドブルの2つの支配的時代、すなわち2010年から2013年までのセバスチャン・ベッテル時代と、現在のフェルスタッペン時代について、モナハンは技術的な進化とその挑戦について語っています。彼は、ベッテル時代の成功が技術的な革新によってもたらされたことを強調しており、特に2012年のブラジルGPでの激しい戦いが非常に印象的だったと振り返っています。このレースでは、ベッテルのマシンがダメージを負いながらもタイトル争いに踏みとどまり、最終的に勝利を収めたことが重要な瞬間だったと述べました。

一方で、現在のフェルスタッペン時代も技術的な挑戦を伴っており、特に2022年以降のグラウンドエフェクトカーの導入により、レッドブルは他チームをリードする形で技術的な進化を続けています。モナハンは、レッドブルのエンジニアリングチームがこの変化に迅速に対応し、他チームに対して優位性を保っていることを強調しています。

アドリアン・ニューウェイ不在の影響と未来への展望

モナハンは、レッドブルの技術的なリーダーであるアドリアン・ニューウェイの存在が、チームの成功に大きく貢献していることを強調しました。ニューウェイは、レッドブルの車両設計において革新的なアプローチを導入し、彼の設計哲学がチームの優位性を築く重要な要素であったと述べています。しかし、ニューウェイが不在となり、それがどのような影響を与えるかについては慎重な姿勢を示しつつも、モナハンはレッドブルが引き続き技術的な進化を遂げる準備ができていると自信を持っています。

特に、2026年に予定されているレッドブルの新しいパワーユニットの導入に向けて、モナハンはさらなる進化と挑戦を楽しみにしており、今後もレッドブルがF1でのトップチームであり続けるための強固な基盤が整っていることを強調しました。