夏休み明けの舞台となったザントフォールトで、マクラーレンが早くも圧倒的な存在感を示した。ランド・ノリスは金曜の2回のプラクティスでいずれも最速を記録。オスカー・ピアストリも遜色ない速さを見せつけ、チームの好調ぶりを裏付けた。

コンストラクターズ選手権ではすでに299ポイントの大差を築いており、シミュレーション上ではアゼルバイジャングランプリで王座防衛を決める可能性すらある。予選シミュレーションでは0.15秒のアドバンテージ、決勝ペースではメルセデスに0.23秒、レッドブルに対して0.1秒優れているとされ、あらゆる種類のコーナーで最速をマーク。直線速度でアストンマーティンに譲る場面こそあるが、他のトップチームに比べれば十分に互角以上だ。過去4戦で3勝を挙げたノリスが、ポールポジションと勝利の最有力候補と目されるのは当然だろう。

アロンソ、意外な“刺客”に浮上
そんなマクラーレンの独走に割って入ったのがフェルナンド・アロンソだった。FP2ではマクラーレン勢の間に割り込み、首位とわずか0.087秒差の2番手。普段は金曜の結果に慎重な彼が「今週は少し楽観的になれる」と語ったことは注目に値する。
「マクラーレンと戦えるとは思っていないが、メルセデス、フェラーリ、レッドブルなら勝負できるかもしれない」とアロンソ。軽々しく発言しない彼の言葉だけに重みがある。チームメイトのランス・ストロールはFP1で速さを示しながらもFP2でクラッシュ。ただしマシンの直線スピードは際立っており、燃料搭載量やドラッグの少ないセットアップの影響が示唆されるにせよ、アストンマーティンが再び上位争いに加わる可能性を強く印象づけた。

メルセデス、コンストラクターズ2位争いで存在感
選手権ではフェラーリが2位につけているが、データ上でマクラーレンの次点に位置しているのはメルセデスだ。予選・決勝いずれのシミュレーションでも2番手の評価を得ており、ジョージ・ラッセルは「レースペースは悪くない」と自信を示す。実際に決勝ペースではレッドブルを0.1秒速く、フェラーリも上回る。この数字は、日曜の決勝で彼らが確実に優勝争いに絡むことを示唆している。
ルイス・ハミルトンはスピンに悩まされたものの、マシンの進歩にはポジティブな手応えを感じている様子。変わりやすいオランダの天候次第では、さらにチャンスを広げることになるだろう。

レッドブルの苦境とフェラーリの迷走
現王者マックス・フェルスタッペンは週末前から「優勝は難しい」と語っていたが、金曜後には「トップ5に入るのも大変」とさらに悲観的な見方を示した。依然として解決されない課題に苦しむ中で、チームメイトの角田裕毅はショートランでもロングランでもフェルスタッペンに迫るタイムを記録し、好調さをアピールした。
一方のフェラーリは厳しい状況だ。シャルル・ルクレールは「今季最悪の金曜」と語り、低速コーナーでマクラーレンに0.6秒も遅れを取った。決勝ペースはレッドブルや場合によってはメルセデスに並ぶ可能性があるが、狭いザントフォールトで予選を失敗すれば日曜の挽回は難しい。

勢力図の再編を占う週末
夏休み明けのザントフォールトで鮮明になったのは、マクラーレンの支配が続く一方で、アストンマーティンとメルセデスが挑戦の機会をうかがっている構図だ。フェルスタッペンは苦境に立たされ、フェラーリは迷走。そんな中で光を放つのは、ノリスの安定感とアロンソの闘志である。
果たして、マクラーレンが再び完全勝利を収めるのか。それとも“意外な刺客”が主役の座を奪うのか。オランダGPは、勢力図の再編を予感させる緊張感に包まれている。


