2005年F-1 Rd4 サンマリノGP 観戦記 決勝
久しぶりにすごいレースを見せてもらった。
鳥肌がたった。
昔のルネ・アルヌー対ジル・ビルニューブみたいに抜きつ抜かれつはなかったし、サイドバイサイドも少ししかなかったけれど見応えのある応酬でした。
追う王者 ミハエル・シューマッハーに、逃げる若きポイントリーダー フェルナンド・アロンソ。
ミカ・ハッキネン引退後、ミハエル・シューマッハーに正面から勝負できるドライバーがいなかっただけに、アロンソの走りはミハエルのライバル現るといった感じ。
残り12周時点で最後のピットストップを終了したミハエルを従えたアロンソは、トサの立ち上がりで一度だけミスをしたが、それ以外はミスのない素晴らしいドライビング。
しかも、周回遅れが前にいると見るや、ラップタイムを調整して追いつかないようにコントロールした。
ミハエルにあれだけの勢いでプレッシャーをかけられれば、スピードを上げるの普通です。
そうではなくてコントロールした辺りにアロンソのすごさを感じる。
バトンは周回遅れに追いつくところでミハエルにやられたから。
敗れたとはいえミハエルの走りは凄かった。
F2005もブリヂストンも素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた。
なによりもフェラーリの執念がこの結果へと結びついた。
バーレーンGP終了後、約18日間のインターバルの間に延べ15日間のテストを実施。
マシンの信頼性アップとタイヤテストを繰り返した。
しかしどんなにマシンやタイヤが良くても、今回の追撃はミハエルなしではできなかっただろう。
チャンピオンシップ上でアロンソを追いかけるミハエルは思い切ってインに飛び込む選択肢もあっただろうが、じっとアロンソにプレッシャーを掛け続け二位でフィニッシュ。
これで優勝していれば、昨年のVTRみたいだったが、今年はバトンを抜いてもアロンソがいた。
ミハエルもレース後の記者会見で認めていたように、今回は予選二回目での失敗が全てだった。
重いマシンを操ることにかけてはF1界随一のミハエルでも、あそこまで燃料を搭載しているとコントロール仕切れなかった。
それとバトンにつかまったのも痛かった。
最終的にはコース上でパスしたものの結果的にこの時のタイムロスが今回の結果を生んだ。
ブリヂストンタイヤからすれば、フェラーリ頼みの一本足打法(?)の弱点が表れた。
ミシュランからすればバトンがミハエルを抑えてアロンソを先行させるのは願っても見ない展開。
ミシュランのようにBARやウィリアムズがダメでもルノーやマクラーレンがいるという状況は圧倒的に有利。
しかし今回は路面温度が予想より低いという特殊条件はあったものの、ブリヂストンの見せたパフォーマンスは凄かった。
これで今後はミシュランと勝負になりそうだ。
レース後のミハエルは敗れたにもかかわらず、さばさばとした表情に見えた。
もちろん勝てなかった悔しさはあるだろうが、F2005とブリヂストンタイヤが見せたずば抜けたパフォーマンスに自信を深めたのだろう。
どこか満足しているミハエルの姿が新鮮だった。
今後、アロンソがチャンピオンになるかどうかはまだわからないが、このレースが新旧交代の象徴的なバトルだったと後世に伝えられるレースになるような気がする。
テクノロジーがどんなに進化したとしても、F1はドライバーが最も重要なファクターであることを再認識させてくれた素晴らしいレースだった。
ありがとう、アロンソとミハエル!
▽マクラーレンとBAR
ライコネンはミシュランタイヤから通常より柔らかいタイヤを供給してもらい、ポールポジションをゲット。
レースでもスタートからリードを奪い逃げ切りをはかろうとするが、8周目で早すぎるリタイヤ。
序盤の3戦で全てフィニッシュさせてきたマクラーレンの今年最初のリタイヤがレースをリードしている時に起こるとはあまりにももったいない。
ライコネンが最後まで走っていれば、今回のレースの展開も大きく変わっていたかもしれないだけに残念。
ブルツも久しぶりのレース復帰を手堅く4位フィニッシュ。
きっちりと役目を果たした。
BARはスピードを戻してきた。
ルノーやフェラーリには少し劣るがやっと勝負ができそうなマシンを手に入れた。
バトン、琢磨共に今季の初入賞。
昨年の快進撃がここサンマリノでのバトンのポールポジションから始まったことを考えると今後が楽しみだ。
琢磨もアグレッシブな走りが戻ってきた。
この抜きにくいイモラで、ウェバーをパス。
ツゥルーリに引っかかったのが誤算。
おかげてブルツに逆転されてしまった。
上記の2チームが上昇したので、相対的にトヨタのポジションが下がってしまった。
それでも2台とも入賞したのは今年のトヨタの進化を表している。
(注:レース後の裁定でラルフはペナルティを課せられて、入賞圏外へ)
ジャックもいい走りを見せた。
これでクビ報道から逃れられることだろう。
前回から最もいかした走りを見せて、レースをわかせてくれたドライバーに与えてきたMID(Most Impressive Driver)を今回はミハエル・シューマッハーに送ろう。
逃げ切ったアロンソも素晴らしかったが、ミハエルのスーパーな走りがなければ、あのバトルはなかったからだ。
次はアロンソの母国で開かれるスペインGP。
母国GPはどのドライバーにとっても特別なもの。
それだけにアロンソにかかるプレッシャーも相当だろう。
そこで私は次はアロンソが負けると予言しておこう。
もしプレッシャーに打ち勝って勝ったなら、そのままチャンピオンへ一直線だ。
では誰が勝つのかって?
う~ん、これは難しい。
ミシュランとブリヂストンのタイヤ次第かな。
ミシュランならライコネン、ブリヂストンならミハエル。
どちらかといえば、ブリヂストンタイヤが好調を持続すると信じてミハエルの今シーズン初優勝を予想しておこう。
- 2005年F-1 Rd3 バーレーンGP ウラ観戦記
- 2005年F-1 Rd4 サンマリノGP ウラ観戦記