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BARホンダ失格の真相 その2

ここで「あれっ」とおもった読者の方も多いだろう。 なぜなら、タンクの構造が問題なく、誤魔化しもせず、車体重量もOKで、バラストとしても使われていないのであればなんで失格になるの? そう、これだとBARホンダが失格になる理由がない。 ところが国際控訴裁判所が下したのは、ご存じの通りの判決であった。 その根拠を彼らは、「チームが故意に不正手段を取ったとは認められないが、チーム提供の燃費データは最低重量要件を満たしていることを保証することはできない」などの理由に求めた。 要するにチーム側が提出した資料は信用できないと言うわけです。 被告が出したデータですから、改ざんされていない保証はないだろうと言いたいのですね。 レギュレーションではFIAに自分たちのマシンがレギュレーションに合致していることを証明する義務がチーム側あると明記されています。 しかも、データなどではなく物理的に証明するように求められています。 その意味ではこの判決理由は全く正当なものといえます。 でも、ちょっと待ってください。 そもそもFIAの検査官がイモラGPの後で、BARから説明を受けて納得したからOKだったんだろう? それをその親分であるFIAが翌日にBARを訴えるなんてことがあって良いのか? それだったら最初から責任のある人を連れてきて、検査させないと意味がない。 いつまでたってもレース結果が確定しないし。 検査官はFIAから権限の委譲を受けて現場で検査しているわけだから、その彼らがOKしたものをFIAが控訴したりしたら、彼らを派遣したFIAの責任は問われないのか? しかも、FIA側は自分たちの派遣した検査員が間違った判断を下したことにはまったく触れずに、一方的にBARは無罪を証明できなかったので有罪と決めつけられてしまった。 こりゃ、BARホンダだけじゃなくても怒りたくなる結論だ。 百歩譲って、確かに説明責任が果たせなかったのでBARのサンマリノGPの失格はわかる。 実際、全ての燃料を抜いた状態では、最低重量をクリアしていなかったからだ。 でもその後の2戦参加禁止はいかにも厳しすぎるように思われる。 実際、以前の重量不足でこのような処分が下されたのはティレルが故意に最後の燃料補給で最低重量を超えさそうとした時だけだと思う。 この時はシーズンの全ポイント取り消しという厳しい処分が取られた。 このような裁判をやられれば誰も裁判で勝てはしない。 ようするにBARホンダは、はめられたのかもしれない。 しかし、真実は闇の中だ。 ロン・デニスは「我々はマシンを設計する段階で何千通というメールをチャーリー(ホワイティング:FIAの技術委員)に送りレギュレーションに合致するか確認している」と述べている。 ロス・ブラウンも同様のことを言っているようである。 ▽FIAとはなんなのか? サンマリノGP後の車検風景も不思議なものだったと言われている。 1位、2位のアロンソとミハエル・シューマッハーのマシンには目もくれず、検査官はバトンのマシンの燃料を調べたと伝えられている。 その場でバトン失格と判断されていればBAR側は他のマシンのタンクも調べろと抗議したことでしょう。 ちなみに佐藤琢磨のマシンは調べられないまま失格となりました。 同様のタンクを使用しているチームも複数あったようだから、そうすれば他にも失格車が出て、大混乱ということも予想されたでしょう。 でも一度、検査官がOK出しておいて、FIAが翌日控訴すると、BAR側は他のマシンを調べて欲しいと抗議することができません。 こうなるとそもそもFIAとはどういう団体なのかと問いかけたくなります。 全世界のモータースポーツを統括する団体なのですが、所詮ヨーロッパ人中心でヨーロッパ人のために運営されているのでは、とアウトサイダーである我々日本人は思いたくなります。 かつてもミハエル・シューマッハーが黒旗を提示されていたにもかかわらず、それを無視して最終ラップまで走り、その周の最終コーナーからピットロードへ入り、ピットロード上でスタート地点を過ぎて優勝などという馬鹿げたレースもありました。 そのミハエルもベネトン時代はいじめられて、優勝を取り消されたこともありました。 そもそもレギュレーションは紙に字で書いてあるので、どうしてもグレーゾーンが出てきてしまいます。 BARはそれを確認しなかったから「あほ」だと言われれば、反論できないかもしれません。 前述のロン・デニスのコメントはそうほのめかしています。 しかし、この判決理由と特にその重すぎると思われる罰則にはやりきれない思いが残ります。 この処分にはFIAとベンツやBMW、ルノー、トヨタ等と一緒にホンダが参加しているGPWCの対立があるとも言われています。 チーム側の金銭的取り分が少ない今のF1シリーズに満足できないフェラーリを除くメーカー系チームがFIAと対立しており、BARホンダはその見せしめのために、ねらい打ちされたとの報道も見受けられる。 その真偽のほどは判断できないが、あり得ない話ではないだろう。 まぎれもなくF1はヨーロッパが中心となり形成されてきた。 この判決を聞いて、F1が全世界的なレースとなった今、組織がそれについてきていないような感想を持った。 しかし、F1に参戦し続けるならば、嫌でもこの世界の連中と渡り合っていかなければならない。 そのためには、何年か参戦して成功したら撤退し、また何年かしたら参戦するといった腰掛け参戦をやめなければいけない。 そうでなければいつまでたっても日本人はアウトサイダー。 彼らの中に入っていき、とけ込まなければターボを禁止された時のように何度も何度も叩かれ続けることだろう。 ただ、この事だけを見てFIAは汚いと言うだけでもいけない。 彼らは彼らが何十年もかけて築き上げてきたF1という文化を守りたいだけかもしれないし、日本だって相撲協会が一時、外国人力士を制限しようとしたこともあった。 結果的に今の幕内力士の20%程度を外国人が占めるに至り、そんな話は出なくなったが。 このように既存のフィールドによそ者が入っていくのはどこの世界でも厳しい。 これをどうとらえるかだ。 厳しいからやめるのか、厳しくても続けるのか? ここに日本人とモータースポーツの関係が根本的に問われているような気がする。 しかし、ホンダが被った損害はあまりにも大きい。 失格だけならまだしも、出場禁止処分は懲罰的な意味があると一般の人からは取られかねない。 しかも最近、FIAが発行した声明文にはこんな一文がある。 「いかに大手メーカーであろうとも、不公平な利益を得たりアドバンテージを隠し持つようなことがあってはならない。それが受けいれられない者はフォーミュラワンにおけるポジションを失うだろう」 「ルールを犯しておきながら母体団体の誠実さを攻撃するような競争者を是認するスポーツは存在しないということを理解すべき」 う~ん!FIAとは何という団体なのか。 これは恐喝まがいの声明ではないか。 絶対に優勝して奴らを見返してくれBARホンダ。 俺は応援しているよ!

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