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ジェンソン・バトンはどこへ行く?

メルセデス・ベンツによるブラウンGPの買収が発表された。 これにより、ドライバーズ・マーケットが大きく動きそうだ。 メルセデス・ベンツというビッグ・ネームがチームを買収した今、バトンに、チャン ピオンとして適切な額を支払うのを、ブラウンGPが躊躇する理由はない。 昨年末とは状況がまるで違うのだ。 お金があるのにお金を払わないと言うことは、ブラウンGPを買収したメルセデス・ベンツがバトンを必要と していないとしか考えられない。 実はロズベルグの契約には、もう一人のドライバーが彼よりも高い金額で契約するこ とを禁止する条項が入っていると噂されいている。 これは当然、メルセデス・ベンツがブラウンGPを買収することを前提とした契約である。 チャンピオンであるバトンが要求している金額は、当然ニコよりも高いと予想される。 だがバトン側にも言い分がある。 彼は昨年の撤退を受けて、有効な契約を破棄してまで年俸の大幅ダウンに同意した。 一説によるとそれは75%もの大幅なカットだったという。 ブラウンGPが生き残るために。 さらに、レースへ行く旅費も自分で負担した。 彼としては、削減する前のサラリーに戻して欲しいだけだ。 ロス・ブラウンも払えるものなら払いたいだろう。 だが、メルセデス・ベンツが買収したとなると話は別だ。 ドライバーの選択権はメルセデス・ベンツ側に移ったと考えていいだろう。 バトンが求める数億円の増額は、メルセデス・ベンツであれば払える金額だ。 それを出し渋っていると言うことは、メルセデス・ベンツはバトンを放出してもいいと考えていることに他ならない。 それが、メルセデス・ベンツのバトンの評価なのだろう。 もしくは2011年にベッテルを迎え入れるために、あえてバトンに厳しい条件を突きつけていることも考えられる。 彼らはカーナンバー1番よりも、ホンダ時代の面影を残すバトンを放出して、全く新しいメルセデス・ベンツ・チームとして来シーズンにのぞむことを選択しようとしている。 そして、バトンもまたマクラーレンと急接近している。 これはライコネンとの交渉が行き詰まっているマクラーレンにとっても好都合だ。 高額な年俸とプロモーション活動の制限を求めるライコネン側との交渉はなかなか進展していない。 バトンはチャンピオン・ドライバーとしては破格の安さであり、強気のライコネン側が譲歩しない場合、かなりメリットがある契約となる。 だがバトンがマクラーレン移籍を選択するのは、かなり危険な賭けとなる。 おそらく来シーズンはマクラーレンの方がメルセデス・ベンツGPより戦闘力はあるだろう。 資金的にもマクラーレンは問題がない。 だから一見、年棒も増額されそうなマクラーレンとの契約はバトンにとって良さそうである。 だが、忘れてならないのは今のマクラーレンは完全にルイス・ハミルトンのチームである。 多くの元F1ドライバーがこのことに警鐘を鳴らしているし、私も全く同意見である。 マクラーレンは確かにリソースも豊富だし、二人のドライバーに同じマシンを供給する能力がある。 だが、マシンの開発に当たっては当然ルイスに合わせたマシン作りになる。 オーバーステアのマシンを完璧に操るルイスが好むマシンは、それ以外のドライバーには非常に扱いづらいマシン特性である。 どちらかというと弱アンダーステアのマシンを好むバトンにとって、あまりありがたくない話だ。 そう言う意味で今年のブラウンGPのマシンは、バトン向きであったといえる。 ルイス好みのマシンを自分の好みにセットアップできればいいのだが、今シーズン後半に苦しむバトンの姿からは、難しい作業となるだろう。 マシンの基本性格がセットアップの問題ではなく、パッケージの問題であれば、ドライバーにできる仕事は少ない。 2年間コバライネンが苦しんだ大きな理由はそこのあると見ている。 多少年棒が安くても慣れ親しんだロス・ブラウンと一緒に仕事をした方がバトンにはいいだろう。 だが、彼にもチャンピオンのプライドがある。 チームを救ったという自負もあるだろう。 だから、マクラーレンがライコネンと契約しなければバトンはマクラーレンへ行くだろう。 だがそれは、バトンにとって劇薬になりかねないことを忘れてはいけない。

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