メルセデス・ベンツはブラウンGP買収とマクラーレンとのパートナーシップ終了を発表した。
メルセデス・ベンツはブラウンGPの株式75.1%を取得する。
ブラウンGPは、来年メルセデス・ベンツとして参戦する。
それと同時に、マクラーレンはメルセデス・ベンツが持つのマクラーレンの株式40%を二年間かけて買い戻す。
だが、マクラーレンへのエンジン供給契約は2015年まで延長された。
つまりマクラーレンはそれまでの、メルセデス・ベンツのパートナーという立場から彼らからエンジン供給を受ける一つのチームという立場になる。
これによりマクラーレンが自分自身のエンジンを開発して、F1に参加するのではという噂は否定された。
メルセデス・ベンツが取得するブラウンGPの株式の45.1%はダイムラーが、残りの30%は中東の投資会社が保持する。
この中東の投資会社はメルセデス・ベンツの大株主である。
残りの24.9%はロス・ブラウンやニック・フライその他のメンバーが持つ。
全チームの承認が得られれば、来シーズンからメルセデス・ベンツとしてF1に参戦することになる。
それが実現すれば、1955年ファンジオがチャンピオンを取って以来のこととなる。
ロス・ブラウンは引き続きチーム代表の座にとどまる。
今後、数年間は代表の座にとどまることも明らかにされた。
ニック・フライもチームにとどまる見込みだ。
これにより、来年はドイツ系の企業がスポンサーにつくだろう。
また、ドライバーもドイツ人が有力視されている。
ジェンソン・バトンとの交渉が不調に見舞われている中、ニコ・ロズベルグとニック・ハイドフェルドが有力視される。
この取り引きの目的は、メルセデス・ベンツがよりF1に深くコミットメントしたいとの意志があると思われる。
マクラーレンとのパートナーシップは、例えばドライバーの選択にしてもマクラーレン側に選択権がある。
プロモーションにしても制限が大きいし、パブリシティも自分自身のチームの方が大きい。
メルセデス・ベンツにしてみれば、2000年にミハエル・シューマッハーとの契約をまとめられなかった後悔の念がこの行動に走らせたのかもしれない。
また同じようにドイツの新星セバスチャン・ベッテルへのエンジン供給をマクラーレンに拒否されたことも理由の一つだろう。
自分達がチームを持てば、誰と契約しようと文句を言われる筋合いはない。
わずか1ポンドでホンダからチームを譲り受けたロス・ブラウンやニック・フライは、この取り引きで大きな金額を手に入れるだろう。
それにしても昨年12月に撤退した元ホンダが、2009年にチャンピオンを取って、そのチームがメルセデス・ベンツと言う名前に変わるとは、当時は誰も想像ができなかった。
本当に運命とは恐ろしい。
ブラウンGPがもし、メルセデス・ベンツエンジンではなくフェラーリを選んでいたらこの話はなかった。
ホンダが撤退しなければ、当然こんな話が実現するわけもなかった。
ホンダがロス・ブラウンに1ポンドでチームを売却しなければ、ブラウンGP自体が存在しなかった。
これで、本当におとぎ話のようなブラウンGPの話はわずか1年で終演を迎える。
シンデレラは、最後に本当のお姫様になった。
果たしてロスはなになるのだろう。
メルセデス・ベンツCクラスのすべて (モーターファン別冊 ニューモデル速報/インポーテッドシリーズ vol.) |
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