2014 Rd.12 ベルギーGP観戦記 ミスで勝利を失ったベッテル
このレース勝っていたのはベッテルかもしれない。彼はスタート直後にロズベルグをかわして2位へ。その直後のバックストレートでトップのハミルトンにオーバーテイクを仕掛けるが、ブレーキングでミスして3位に落ちた。しかもその後、第二セクターでミスをしてチームメイトのリカルドにも抜かれた。
その後の展開は、ご存じのとおりリカルドが優勝し、ベッテルは5位である。もしベッテルがこの二つのミスをしていなければ、レース結果がどうなったのかは、興味深い。
これまでベッテルは昨年のマシンと全く変わってしまった操縦性に困惑していると言われていた。だが今回、リカルドがミスすることなく、優勝したのとは対照的にミスして順位を落としたベッテルの苦戦の原因はどこにあるのであろうか。今回のレッドブルはスパ・スペシャルと言えるような空力パッケージを持ち込んでいた。特徴的なのはリアウィングである。彼らのリア・ウィングはとても薄い。メルセデスなどと比べれば一目瞭然である。
レッドブルはダウンフォースを相当量落としてきた。これは今のスパの大半の区間がフルスロットで、コーナーらしいコーナーは第2セクターだけに集中している。その為、パワーユニットが非力な彼らはダウンフォースを減らして最高速を稼いでタイムを獲得しようした。
もちろんレッドブルがあれほどリアウィングを薄くできるのは、アンダーフロアで多くのダウンフォースが獲得できているからではあるが、それでもトータルのダウンフォース量は多のマシンと比べても少なかった。
そうなると当然、コーナーの多いセクター2は難しくなる。実際、ベッテルのミスは共にセクター2である。ベッテルはコース幅を目一杯使って走っていた。しばしば四輪ともコース幅を超えることもあり、ベッテルはチームから無線で、ペナルティをもらう可能性があるので注意するように伝えられてもいた。明らかに走りにくそうであった。
こう考えてくるとベッテルの今年の苦戦の原因はダウンフォースが大幅に削減されていることが大きいと推測される。昨年までのレッドブルはエキゾーストブローの効果もあり、どのコーナーでも踏んでいけた。だが今年は踏めない。踏めばマシンは滑る。ベッテルは過去4年間連続チャンピオンになってきているわけであるが、2010年はそれほど圧勝してきたわけではない。この年はウェバーもほぼ互角に勝負できていた。だが2011年から大きく差がつきだし、ベッテルはその後も連続して王者の座に着いた。
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今年のベッテルは新しいレギュレーションの元で作られたマシンに明らかに苦戦している。一方のリカルドは着実に対応している。決してベッテルが遅くなったわけでないが、彼の持つアドバンテージが今年は使えずに苦戦している。
ベルギーGPはベッテルにとっては、かなりつらい結果である。勝てたかもしれないレースを自分のミスで落としたのであるから。だが自分自身のミスから目をそらしていては、進歩はない。そしてベッテルは必ず進化を果たして、表彰台の頂点に返り咲くだろう。問題はいつ返り咲けるかである。
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