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マクラーレンがタイトルスポンサーなしでも困らない理由

MP4-30 - Side On-s 現時点でマクラーレンMP4-30にはタイトルスポンサーがついていない。このままで今シーズンを終えるとマクラーレンは二年連続でタイトルスポンサーなしのシーズンとなる。 だがマクラーレンは慌てるそぶりもない。彼らはタイトルスポンサーを探していることは認めつつも、安売りはしない方針である。どうして彼らはそこまで強気でいられるのであろうか。 関連記事:なぜマクラーレンにはタイトルスポンサーがつかないのか? そこには当然、理由がある。 彼らの年間活動費用は約300億円ほどである。これは現在のトップチームの平均値である。 まず彼らは2020年まで参戦することを約束する代わりにFOMから多く分配金を得ている。昨年のコンストラクターズランキング5位でも、その額は140億円ほどと言われている。これで活動費の約半分ほどになる。 さらに彼らは小さいながらも32個のスポンサーと契約している。一つ一つの金額は少ないが、塵も積もれば山となる。彼らはこの契約から約100億円を得ている。一つのスポンサーから平均して3億円ほど集めている計算である。この程度の金額であれば、支払える企業は多い。 これですでに240億円である。300億円まで残りは60億円である。このほかにマクラーレンは、各チームが標準で使用しているエンジンのコントロールユニットも販売しており、そこからの収入も見込める。 しかも今年はホンダからパワーユニットを供給してもらう。これは当然、無償である。昨年まではメルセデスのカスタマー扱いだったため費用を支払っていたが、今年はそれがゼロである。その額はおよそ25億円と言われており、小さな金額ではない。 関連記事:どのパワーユニットがお好き?お買い得なPUはどれ? 以上の状況を考えるとマクラーレンが、余裕の姿勢を見せているのはやせ我慢でもなく、当面の活動資金に困っている訳ではないからである。 そして二年連続未勝利に終わった現在は、スポンサーを獲得するのにいい時期とは言えない。 というわけでマクラーレンにタイトルスポンサーがないからといって、今年のマクラーレンが競争力がないとは言い切れない。もちろんお金はたくさんあった方がいいに決まっている。優秀なドライバーやエンジニアを獲得するにもお金がないと始まらないし、工場の設備投資にも多額の資金が必要である。だが少なくとも現状レベルの活動であれば、問題はない。 ただ慣れとは恐ろしいもので、タイトルスポンサーがないと寂しいのもまた事実である。彼らが今年活躍し再びタイトルスポンサーを獲得し、新しいカラーリングになることを期待したい。