メルセデスがPUを全く新しくできるのはなぜ?
メルセデスの関係者がとても興味深い話をしている。彼らの2015年使用する予定のパワーユニットは、昨年型とは全く違うと述べているのだ。
だがこれはおかしな話だ。
昨年のパワーユニットから今年のパワーユニットから開発できるのは限られた32トークン分である。これはパワーユニットの約半分であり、それ以外は開発できないはずである。このトークンを使い切っても、全ての部品を新しくすることはできない。
ところが実態は全く違う様相を見せている。メルセデスの2015年型パワーユニットは昨年型とはまったく違うのである。どうしてこのような事が起こるのであろうか。メルセデスはレギュレーションに違反しているのか、それとも何か秘密の魔法を使ったのであろうか。
残念ながらメルセデスはなんの魔法も使っていない。ただ1つの抜け穴を使っているだけである。それは信頼性を向上させるための新しい部品は、FIAに申請して認められれば、使用が可能になるのである。
そして今年はパワーユニットの使用制限が昨年の5基から4基へと減らされる。しかも今年の方がレースの数は一つ増えているにも関わらずだ。つまりパワーユニットの信頼性を昨年より増やさなければ、今年のシーズンを定められたパワーユニット数で乗り切ることはできない。
だから昨年型と今年のパワーユニットは相当変更しないと、今年4基の使用で終わらせるのは難しくなる。
つまりメルセデスは信頼性に関係ない部品についてはトークンを使い、それ以外の部分にはこの信頼性を向上させる部品として投入するわけである。
なんとも巧妙なやり方である。だが当然、この方法は他のメーカーも使える。つまりこれはメルセデスが有利とか不利とか言う話ではなく、他のメーカーも同じ条件である。
コスト削減の精神はどこへいったのかと問いたくなるが、これがF1であり、この競争を勝ち抜かなければ、勝利することはできないのである。
そう考えると昨年に比べて排気音が違うと言われているのも、よく理解できる。違うパワーユニットであるのであれば、排気音もまた変化してもおかしくはない。
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