ベッテルを抜くために3ストップに変更したハミルトンに本来であれば対応したかったフェラーリだが、それができない理由があった。トラックポジション重視のこのトラックでは、前を走るマシンは後ろを走るマシンと同じ作戦にすれば、コース上で抜かれることはない。
だがフェラーリはハードタイヤをうまく使うことに苦労していた。もしベッテルが3ストップにした場合、4セットのタイヤが必要になる。このレースではミディアムの方が有利だったので、ミディアム3セットとハード1セットでいきたい。だがフェラーリには3セット持っているミディアムのうち1セットは周回数が多く、レースで使うのが難しかった。つまりフェラーリが3ストップにした場合、2セットのハードタイヤを履かざるを得なくなり、フェラーリはそれを嫌ったのである。
それでも最速メルセデス2台の次の3位であるから、いい成績と言える。
今回、ピレリが持ち込んだハードタイヤはあまりにも固くて、使うのが難しかった。特にフェラーリはタイヤに優しい特性を持っているので、更に不利になる。
もしピレリがこのサーキットにソフトとミディアムを持ち込んでいれば、フェラーリはメルセデスにもう少し対抗できていただろう。だがピレリは過去のタイヤトラブル騒動で懲りており、今後も保守的なタイヤ選択が多くなると予想される。
そうなるとフェラーリにとっては不利な状況が続く。