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混沌とするロータス買収とルノー

Renault-004 先日、ルノーによるロータス買収が秒読みとお伝えしたが、状況は混沌としている。 この件に関してはいろいろと噂がされているが、ロータスはまだルノーからの正式な買収オファーを受け取っていない。だからといってルノーがロータスを買収しないという話ではなく、話し合いは続いてはいるが正式なオファーはまだない状況である。 これにはフランス政府が絡んでくるので、話は複雑である。F1にどうしてフランス政府が介入してくるのか不思議に思う読者もいるとは思うが、フランス政府はルノーの大株主である。以前は15%保有し、現在は20%程度を保有していると思われる。フランスでは長期の株主に対する議決権を2倍にする法律があり、それが適用されると40%近い議決権を保有することになる。 さらに細かい話をするとカルロス・ゴーンが自社で株式を買い、このルノーの議決権2倍を阻止(株主の2/3が同意すれば阻止できる)しようとしたことが発覚し、フランス政府の反感を買ったことも状況をより複雑にしている。 つまりルノーが大金を費やしてF1に参戦する際には、この大株主であるフランス政府を説得しなければならない。当然、国民の税金から出資している政府がすんなりとOKするとは思えない。 ルノーは自分のチームでF1に参加した場合に、どういう効果があるのかを説明しなければならないし、その効果を実証しなければならない。だがこれまで長年F1に参戦しているルノーの販売が低迷しているのを見ると、自分のチームで参加しても、それが急激に上向くとはとても思えない。 こういう理由もあって、ルノーはロータスに正式なオファーをしたくても、できない状況になっていると思われる。 一方、いつ破産してもおかしくないロータスであるが、イタリアには到着した。そしてその裏では、バーニー・エクレストンがロータスに資金を貸し付けたと自ら述べている。 これにはいくつかの側面があり、買収交渉が進展していることをバーニーが知っていて、ロータスが倒産しないことを知っているので、お金を貸したという面とルノーにロータス買収させるようにプレッシャーを掛けたい思いもあるはずだ。 そうでなければ、あのバーニーが倒産寸前のチームに資金を貸し付けるわけがないし、それを公にすることもない。バーニーとしてはルノーにF1に残って欲しく、自分のチームを持って欲しいと思っていて、いろいろと手助けをしている。 そしてロータスがルノーに買収されて、パワーユニットをルノーに変更すれば、メルセデスのPUが一つ余る。そしてそれをレッドブルに使わせようと目論んでいると考えられる。 さすがは、転んでもただでは起きないバーニー・エクレストンである。