昨年のドライバー移籍市場はほぼ無風状態であった。今シーズンは大荒れの予感がする。
昨年はグロージャンがハースに移籍したくらいでめぼしいドライバーはほぼ残留した。だが今年は大きな風が吹く予感がする。
まずはライコネンの動向が注目される。彼が今年限りでフェラーリのシートを失うのは、よほどの活躍を見せない限り確実である。
そうすると誰がその後釜に座るかであるが、2人の候補がいる。ひとりはボッタスでもうひとりはフェルスタッペンである。
実力的に言うとレッドブルのリカルドが最有力と言いたいところだが、彼はレッドブルとの強固な契約があり今年の移籍は難しい。
ただフェラーリが伝統的に新人ドライバーを獲得することは珍しい。来年、3年目になるフェルスタッペンと契約するとなれば、それは驚きであろう。
それにフェルスタッペンを失いたくないレッドブルとしては、来年クビアトに換えてフェルスタッペンをレッドブルに乗せるという技もある。
ボッタスの実力は疑いがないのであるが、昨年マッサに負ける場面が多いのが気になる。チャンピオンになるようなドライバーは、いつでもチームメイトに勝たなければならないし、これまではそうであった。
そう考えると今年のボッタスのパフォーマンスは彼のドライバー人生を大きく左右するシーズンになるかもしれない。
もちろんライコネンが望めば、彼の続投がないわけではない。というのも今のフェラーリは完全にベッテルのチームになっており、ベッテルと相性の良いライコネンはパフォーマンスに不足があっても契約する意味が大いにある。
伝統的にフェラーリはナンバーワンとナンバーツーを分ける傾向にあり、政治的な動きがないライコネンはベッテルのチームメイトとしては理想的である。
もう一人の注目ドライバーはバトンである。彼も昨年一時期は引退も考えたのだが、最終的にはマクラーレンが契約延長のオプションを行使して、残留となった。
だが彼も年齢的なこともあり、またマクラーレンの育成ドライバーであるバンドーンが後ろに控えていることもあり来年もF1にいるかどうかは不透明である。
少なくともバトンが来年マクラーレン以外で走る可能性は少なく、移籍してもルノーくらいしか思い浮かばない。
それにバトンが移籍した場合、その代わりはバンドーンで決まりなのでここはわかりやすい。だがアロンソも若手から追い上げられるのも嫌なので、バトンと一緒に仕事をすることを望むだろう。
そして最大の注目点がニコ・ロズベルグである。彼のメルセデスとの契約は今年末で切れる。当然、契約延長交渉となるはずだが、まだ始まっていないという。普通、これだけ長くチームに貢献してきたドライバーであるので、事前の交渉があってしかるべきなのだが、それが外部に聞こえてこない。
それはとても不思議である。ハミルトンの契約交渉では前年の早い時期から始まっていた。ロズベルグにとってメルセデス以上にいいチームはないわけで、当然残留を第1オプションとして交渉するだろう。
だがこのチームにはハミルトンがいるわけで、残念ながらロズベルグは彼がいる限りチャンピオンになるのは難しい。それを受け入れられるがこの契約交渉の注目点である。
ないとは思うがメルセデスがロズベルグの足下をみて契約金額を抑えようとするならば、ロズベルグはプライドを持ってチームを去るかもしれない。
そうなると移籍市場は大荒れとなる。メルセデスのシートは誰もが欲しい。このロズベルグの契約交渉こそが、今年の最大の注目となる。