スタートの明暗 上位4台僅差の勝負
勝負はスタートで決まった。このレースは優勝できるペースを持ったドライバーが四人いた。
ハミルトン、ロズベルグ、リカルド、ベッテルの四人である。彼らのレースペースはほぼ同じ。メルセデス勢は少し速かったが、他の2人も十分に速かった。
このハンガロリンクは、追い抜きが難しい事でも有名である。追い抜きができないわけではないのだが、同じペースで走るドライバーを抜くのは容易ではない。となると必然的にスタートは重要になる。
ポールポジションのロズベルグのスタートは悪くはなかったが、ハミルトンはロズベルグの上をいく蹴り出しを見せた。ロズベルグも蹴り出しこそ少し遅かったが、その後はメルセデスパワーを活かし加速。2位を確保するかに見えたが、アウトからリカルドが見事な飛び込みでロズベルグをかわす。
さらにリカルドはトップのハミルトンを抜こうとするが、ここはハミルトンがトップをキープ。だがリカルドは続くターン2でハミルトンの後ろにつけたが、ハミルトンはコースのイン側につけたため、少しブレーキングが早くなり、その後ろにいたリカルドも減速。そこをアウトからスピードに乗ったロズベルグが襲いかかりリカルドを逆転。
結果的に、この順位のままフィニッシュした。先ほど述べたように上位フィニッシュした上位4台には誰もが勝てるチャンスがあった。
もしリカルドが1コーナーで昨年のベッテルのように首位に立っていれば勝てる可能性は高かった。
ベッテルにも同様にいいペースはあったのだが、予選の最後に渋滞にハマり5番手からのスタートとなり、よほどのアクシデントがなければ優勝は難しかったのだが、もしセーフティカー絡みとかでトップに立てればチャンスはあった。
さらに言うと土曜日予選Q3の2回目のアタックでアロンソがスピンしてダブルイエローフラッグが出たところから4台の運命の時計の針が動き出した。
ポールポジションはダブルイエローフラッグでもアクセルを戻したが、アタックを続けてタイムを出したロズベルグが獲得。
ハミルトンはダブルイエローフラッグはいつでも止まれるくらいスピードを落とさなければならないと理解し最後のアタックをやめて予選2位。彼はセクター1だけでロズベルグより0.4秒速かったので、そのままアタックできればポールポジションは間違いなかった。
ベッテルはロズベルグ同様アクセルを戻したが、アタックは続行。ただ彼の場合ダブルイエローでアタックをやめたバトンに引っかかりアタックを台無しにされてしまった。
リカルドもダブルイエローでアタックをやめたが、彼はアタックできていればロズベルグより速いタイムが出せたと述べているので、彼のポールポジションか予選2位も十分にありえたし、その場合彼の優勝も可能であった。
ロズベルグはレース中に何回もハミルトンに近づくが、アタックするまではいかない。ハミルトンは近づかれるたびにペースを上げて少し引き離す。ただ今回のロズベルグはハミルトンに引き離されることはなく、ついていけた。
だからもしスタートでロズベルグがトップに立てていれば勝ったのはロズベルグだった。
抜くのが難しいハンガロリンクらしいレース展開だったが、土曜日の予選も含めて考えると興味深いレースとなった。
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