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風の影響を受けたシルバーストーン:イギリスGP金曜日フリー走行詳細分析

2025年F1イギリスGPの金曜日、シルバーストーンでのフリー走行は、風と気象条件がドライバーたちに大きな影響を与える波乱のセッションとなりました。シルバーストーンはその高速コーナーとテクニカルなセクションで知られていますが、この日は特に風の強さが特徴的で、各チームはその影響にどう対応するかが一つの鍵となりました。ドライバーたちは、シルバーストーン特有の風に苦しみながらも、予選と決勝に向けて重要な手がかりを得ることができた一日となりました。

金曜日フリー走行のハイライト

金曜日のフリー走行を通じて最も注目されたのは、マクラーレンのランド・ノリスの圧倒的なパフォーマンスです。特に、彼の風に対する適応力が目を引きました。ノリスはソフトタイヤでの走行の中で、1分25秒816というタイムで最速を記録し、地元イギリスのファンを大いに沸かせました。風に翻弄されながらも、安定した走行を見せたノリスは、マクラーレンの信頼性と進化を証明する結果となり、今週末に向けての期待を一層高めました。


「今日は難しいコンディションでした。思ったほど簡単ではありませんでしたが、強い状態にあります。金曜日ですから、まだ誇るべきことではありませんし、夜を越えてこの位置を保つためには確実にやるべきことがあります。競争相手は非常に強く、週末が進むにつれてさらに強くなるでしょう。今夜は集中して、明日の予選に向けて準備を整えます」とランド・ノリスは話しています。

一方で、オスカー・ピアストリはシルバーストーンでのリズムをつかむのに苦労した様子がうかがえました。彼はFP1とFP2の両セッションでノリスに遅れを取っただけでなく、オーバーステアによる乱れが目立ち、最終的には0.47秒の差をつけられてしまいました。この差は風の影響によるものと見なすことができますが、それでもピアストリは自らの改善点を把握し、レースに向けた調整が必要であることを実感したでしょう。

「まずまずの金曜日でした。少し手直しが必要ですが、全体的にペースは良いので、ポジティブな初日になりました。今週末は競争相手が近いので、どうなるか見守りましょう。素晴らしい観客の前でトラックに戻れたことが嬉しいです」とピアストリは語っています。

チーム代表のアンドレア・ステラは金曜日をこう振り返ります。「シルバーストーンでのホームレース、初日としてはポジティブでした。テスト項目に関する貴重なデータを収集でき、パフォーマンスの面でも合理的なベースラインをセットできました。特に風が強かったため、条件は難しかったですが、競争相手は特にフェラーリが強いと予想していた通りです。明日の予選に向けて車を最適化し、日曜日のグランプリに向けて最良のチャンスをつかめるように、今夜も作業を続けます」。

フェラーリとメルセデスの動向

金曜日のセッションで特筆すべきは、フェラーリのシャルル・ルクレールの安定した走行です。ルクレールはFP2終了時に1分26.038秒というタイムを記録し、イギリス勢を抑えて2位にランクインしました。フェラーリのSF-25はここシルバーストーンで好調を維持しており、特にその高速コーナーでのパフォーマンスは目を見張るものがありました。マクラーレンの後ろで最強の「ベスト・オブ・ザ・レスト」を狙うべく、今後のセッションに向けて有利なポジションを確保しています。

シャルル・ルクレールは好調だった金曜日を以下のように振り返りました。「今日はうまくいったと思います。コクピット内の感触は良かったですが、まだ車に手を加える必要があります。予選のセッティングでは少し後れを取っているように感じますが、レースペースではもっと楽に感じています」。

また今年不平不満の多いルイス・ハミルトンもこの日は珍しく上機嫌でした。「本当にワクワクする一日でした。初めてフェラーリでシルバーストーンを走ることができ、素晴らしかったです。両セッションとも車は良い感触でしたが、FP2では最速ラップで少しトラフィックに引っかかってしまったので、まだタイムを詰める余地があります」。

メルセデスに関しては、ラッセルもアントネリもロングランであまり目立ったタイムを記録することはありませんでしたが、ミッドフィールドには明らかなアドバンテージを示していました。ラッセルの13周のスティントは4強の中で最長だったが、ルクレールのスティントと比べると見劣りしていました。ただし、ラッセルはルクレールが走行した最初の5ラップと比べて同じレベルでプッシュしなかったため、比較するのは公平ではないかもしれません。

ただ予報では週末に雨が降る可能性があることが、メルセデスにとってプラス材料になると予想されます。雨の影響で、気温が低下すればメルセデスが再び力を発揮する可能性が高く、チームはその点に期待を寄せています。

フェルスタッペンとレッドブルのパフォーマンス

金曜日のセッションでは、レッドブルのマックス・フェルスタッペンが満足のいくパフォーマンスを見せることはありませんでした。特に、高速コーナーでのアンダーステアに苦しんだとコメントし、「今日は僕にとってはあまり良い一日ではありませんでした。車とコーナーでバランスを見つけるのが難しく、風の影響もかなり大きいです」と述べています。シルバーストーンのような高速サーキットで、レッドブルがいつもの勢いを見せられなかったことは、彼にとっては痛手となる結果でした。

とはいえ、フェルスタッペンはポジティブな面も見出しており、特にロングランでのパフォーマンスに関しては「タイムはかなり妥当だ」と述べ、まだ調整すべき部分があると認識しています。クリスチャン・ホーナーも「ロングランを見れば、タイムはかなり妥当に見える。何か作業できるものはあると思うので、夜間にうまく調整しないといけない」と語っており、レッドブルはまだ最終的なセッティングを決めかねている段階です。

またチームメイトの角田裕毅も苦戦しながらもポジティブ面を見いだしています。「車の感触は悪くなく、明日に向けてまだ多くの作業が必要ですが、シルバーストーンを楽しんでいます。先週末、車の感触は良く、レース中を除けばこれまでで最も良い感触を得ていて、ペースも上がってきていたので、今は微調整が必要です」。

ロングラン分析と今後の展開

金曜日のセッションでのロングランに関して、特筆すべきはマクラーレン、フェラーリ、そしてレッドブルのタイムです。フェルスタッペンはミディアムタイヤで平均タイム1分32.019秒を記録し、レッドブルの安定したペースを証明しましたが、フェラーリのルクレール(1分32.121秒)やマクラーレンのノリス(1分32.223秒)との差は依然として僅かであり、レースペースにおいてもトップ3のバトルは予想されます。

ノリスはFP2で特に満足感を示し、マクラーレンがエンジンモードを抑えて走行していたことを考慮すると、さらにパフォーマンスを引き出せる余地があることがわかります。また、ノリスはフェラーリのペースについても警戒しており、「非常に速いSF-25を相手にポジションを守るためにはまだやるべきことがある」と語っています。このコメントからも、マクラーレンが今後、フェラーリと接近したバトルを繰り広げることが予想されます。

予想されるレース展開

金曜日の走行から見える今週末の展望として、予選と決勝は非常に接戦になることが予想されます。風と天候が大きな影響を与える中で、ドライバーたちはその状況にどれだけ適応できるかが重要なポイントとなります。特に雨が降れば、コンディションが一変し、ドライバーの技量が試される場面が多くなるでしょう。

また、レッドブルはまだ調整の余地があり、予選ではフロントロー争いに加わる可能性が高いものの、マクラーレンとフェラーリの勢いに対抗するためには、最終的なセッティングが決まるまで油断できません。メルセデスも雨の影響を期待しており、そのパフォーマンスが再び活かされる場面が来るかもしれません。

シルバーストーンのレースは、高速コーナーとテクニカルなセクションが絡む難しいコースであり、金曜日の結果だけでは予測できない要素が多いですが、今回の予選・決勝に向けての展望は、非常に興味深いものとなるでしょう。