2013総集編 ハミルトン 移籍成功を証明
昨年、ハミルトンがマクラーレンを飛び出した時、ほとんどの人がこの決断を失敗だと思ったに違いない。だがハミルトンは今年彼自身の選択が間違いなかったことを証明した。
昨年まで1勝しか上げることができていなかったメルセデスに競争力を取り戻した。彼自身はハンガリーGPでの1勝しか上げられなかったが、イギリスGPはタイヤが壊れなければ、楽勝だったし、他にも勝てるレースはあった。だがどうしてもハミルトンは歯車がかみ合わなかった。時には彼自身が攻めすぎることもあったし、マシンにトラブルがあった時もあった。
また移籍してメルセデスのマシンに慣れずに前半は苦戦した。特に馴染まなかったのはブレーキだ。マクラーレンのブレーキのマテリアルはカーボンインダストリーズ製である。メルセデスGPはブレンボ製である。この二つのブレーキは特性が異なる。その為、ブレーキのフィーリングになれるのは難しい。また彼はブレーキに負担をかけるドライビングをする。そして最近のF1はブレーキ温度をタイヤの温度管理に利用している。つまりブレーキの温度が上昇すると、タイヤの温度も上昇する。
ピレリタイヤは温度変化に敏感で、タイヤが高温になるとすぐにグリップを失う。それを避けるにはブレーキダクトを変更する必要があったのだが、今のブレーキダクトは空力部品も兼ねているので、簡単には変えることができなかった。またロズベルグはこのブレーキダクトに満足していたので、二種類のダクトを開発する必要があり、それは今のリソースの限られたチームでは、難しい仕事だった。
結局、彼らはホイールの内側に細かいディンプルを設けることにより、熱を放射して温度管理に成功する。その後のハミルトンは、イギリスGPで独走し、ハンガリーGPで移籍後初優勝を飾ることになる。
今のベッテルとレッドブルは非常に強力なので、ほんの少しのミスでも、それは致命的な結果になる。GPで勝つには3日間の週末を通してミスなく、最高の仕事をする必要がある。それが2013年のハミルトンとメルセデスに欠けていた。そこがレッドブルとの差でもあった。
それでも彼は移籍して慣れないマシンに前半戦は苦しみながら、シーズン中盤にはうまく修正してきた。これは彼のドライバーの能力が高いことを表している。ハミルトンはマシンから最高以上のものを引き出せるドライバーである。シミュレーションよりも速いタイム出せるドライバーを彼以外に知らない。それほど彼のマシンを操る能力は抜群に優れている。
あとはGPのある週末をいかにマネージメントできるか。その能力さえつけば彼は歴史に名を残せるドライバーになれる。
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