JUGEMテーマ:スポーツ
いよいよ今シーズンも開幕が迫ってきました。
今年も多くのレギュレーション変更がありました。
その中から影響の大きいと思われるレギュレーションについて紹介します。
【マシン編】
1.Fダクト禁止とDRS導入
2.ピレリタイヤへの変更
3.KERSの再導入
4.マルチディヒューザーの禁止
5.ギアボックス 5戦連続使用
6.最低重量の増加と重量配分の固定
1.Fダクト禁止とDRS導入
創造的なデバイス、Fダクトが禁止された。
その代わりではないが、FIAは可変リアウィングを導入した。
この可変リアウィングはDRS(ドラッグ・リダクション・システム)と呼ばれる。
あるコーナー(通常はストレート前のコーナー)で前を走るマシンの1秒差以内に接近すると、このシステムが使用可能になり、最大50mmのギャップがメインエレメントとフラップ部に現れて、ドラッグを低減し、最高速が増加する。
このシステムは最長600m使用できる。
使用できるエリアはFIAが各サーキットの特徴に合わせて、指定する。
ブレーキを踏んだ場合やスイッチを操作すると、元の位置に戻る。
このシステムはストレートスピードを10Km程度増加させる効果が認められている。
だがこれで追い抜きが増えるかどうかは微妙で、実際にレースをしてみないとわからない。
まず同程度のスピードを持つマシン同士のバトルの場合、コーナー立ち上がりで1秒以内に接近することが難しい。
1秒以内に近づくことができなければ、このシステムを使用することはできない。
ただし明らかに遅いマシンを抜く場合には、有効だろう。
F1では2秒速くても前のマシンを抜くことが難しいサーキットもあるが、そういう場合、このシステムは助けになる。
ちなみにこのシステムフリー走行と予選では自由に使える。
スタート直後の2周やSCアウト直後の2周目終了までは使用することができない。
2.ピレリタイヤへの変更
このタイヤメーカーの変更が2011年シーズンのバトルに最も大きな影響をもたらすだろう。
14年間活動していたブリヂストンの撤退を受けて、全車がピレリタイヤを装着する。
この新しいピレリタイヤを早い段階から使いこなせるチームが、2011年シーズンをリードしていくだろう。
ただこのピレリタイヤ、当初の予想以上にタイヤのタレが大きい。
しかもある周回数を経過するとタイムの落ちが極端に激しい。
特にリアタイヤのタレは大きく、タイヤが新しいときはアンダーステアでも、ラップを重ねていくと、オーバーステアになるほどである。
その為、レースでは2回以上、おそらくは3回から4回のピットインが必要になるだろう。
タイヤを労って走ることのできるドライバーが有利になる。
各種類のタイヤは、”Pirelli” と “PZero” のロゴが別々の色でサイドウォールに描かれ、認識することできる。
スーパーソフトは赤、ソフトは黄色、ミディアムは白、ハードはシルバーである。
ウエットはオレンジ、インターミディエイトはライトブルーとなる。
3.KERSの再導入
KERSが再導入される。
2010年もレギュレーション上は許されていたが、コスト削減の為KERSを自粛していたが、2011年は復活する。
もともとは2009年より使えるパワーも時間も増加する方向性だったが、一部チームの反対により2009年と同じレベル(1周当たり6.6秒/約80馬力相当)の使用にとどまる。
KERSは新しい3チーム以外は全チーム導入する模様である。
だがこれでオーバーテイクが増えるかどうかは、微妙だ。
というのも各サーキットでKERSを使用できるポイントは事実上決まっており、全部のマシンが同じところでKERSを使えば、アドバンテージはなく理論上、オーバーテイクシーンは増えない。
ピレリのリアタイヤのタレが大きいことも、KERSに影響を与える可能性がある。
リアタイヤが滑り出すとブレーキ時にロックしやすくなる。
KERSはブレーキング時にリアタイヤから充電するシステムであり、リアタイヤがたれてくるとKERSの充電をするとよりリアタイヤがロックしやすくなる。
その為、タイヤがたれてくるとKERSの充電が充分にできず、フルにKERSを使用することができなくなる可能性も考えられる。
4.マルチ・ディヒューザーの禁止
レギュレーションの網の目をくぐり抜け、ブラウンGPをチャンピオンに導いたマルチ・ディフューザーが禁止され、結果として多くのダウンフォースが削減される。
その為、全てのチームの開発目標はこの減ったダウンフォースを取り戻すことが開発の主眼となった。
現状のトレンドはハイノーズ・ローバックである。
多くのチームが採用しているダウンフォース獲得のための手法は、リアエンドを低くすることと、排気ガスの排出位置を工夫することである。
共にディヒューザーの効率アップにより多くのダウンフォースを獲得することを目指している。
前者はウィリアムズが最もスリムなリアセクションを持ち、後者はルノーがサイドポンツーン前部から排気ガスを排出している。
5.2010年、ギアボックスは4戦連続使用が義務づけられていた。
今年は5戦連続使用しなければならない。
これに違反すると5グリッド降格のペナルティである。
ただしシーズン中、最初の違反の場合はペナルティを免れる、例外規定もある。
この例外規定、最終戦には適用されない。
6.最低重量の増加と重量配分の固定
KERS導入に伴う重量増加に対応するため、最低重量が620Kgから640Kgへ引き上げられた。
さらに2011年に限り前後の重量配分が固定される。
指定された最低軸荷重は、前車軸の重量配分が45.5-46.7%、後輪が53.3%-54.5%となる。これは典型的な2010年の荷重より、数%後ろ寄りとなる。
これは新しく採用されたピレリタイヤの特性が不明なため、偶然最適な重量配分を採用したチームが有利にならないための処置である。
【ルール編】
7.107%ルール復活
8.タイヤ規制
9.妨害的ブロックの禁止
10.チームオーダー禁止の解除
7.予選107%ルールの復活
PPタイムより107%以上遅い場合、スターティング・グリッドに着くことができない。
ただしスチュワードが認めた場合は、この限りではない。
これは予選最初の周回でストップし、タイム計測ができない場合の救済措置である。
昨年HRTが107%をクリアできなかったのは意外にも数回である。
とはいえ彼らは安心することはできない。
今年のHRTのマシンはほぼ2010年型であることを考えると、進化した2011年タイプのマシンを相手にする今年は厳しいかもしれない。
8.タイヤルール
ドライレースの場合、2種類のタイヤを最低一回は使用しなければならないルールは存続する。
この条件を満たさない場合は、失格となる。
金曜日 2回のフリー走行セッション(P1とP2)ではドライウェザー・タイヤが3セット(「プライム」2セットおよび「オプション」1セット)が割り当てられる。
プライム・タイヤの1セットはP2開始前に返却し、もう1セットはP3開始前に返却しなければならない。
イベントの残りであるP3、予選、レースについては、8セット(プライム4セットとオプション4セット)のタイヤが供給される。
各仕様の1セットは、予選セッション前に返却し、レース中に使用することはできない。
つまりドライバーが予選とレースで使用できるタイヤはプライム3セット、オプション3セットであり、これは2010年と変わらない。
当初は以上のルールだったのだが、ピレリはタイヤに厳しいサーキット(例えばイスタンブール)用のスーパーハードタイヤの供給を検討している。
また金曜日にテスト用のタイヤを追加で供給して、シーズン中のタイヤ開発を進めることも同時に考えている。
9.スポーツマンシップに反する行為の禁止
妨害的ブロックは禁止された。
これは昨年ハンガリーでのミハエル・シューマッハーがバリチェロをブロックした件を想定したルールだろう。
スチュワードは場合によっては失格させたり、出場禁止処分を課すことができる。
ブロック以外にも複数回にわたりショートカットしてアドバンテージを得たり、周回遅れの際に道を譲らない行為も対照となる。
10.チームオーダー禁止の解除
昨年まで存在したチームオーダー禁止のルールがなくなる。
これは昨年のドイツGPでフェラーリのチームオーダーが実行されたことで、現状を追認した形だ。
ただしF1の威厳を損なうような行為は別のルールで禁止されているので、やり方によっては罰則の対象となる場合がある。
2011年レギュレーション解説
- ブリヂストンの最も価値ある勝利
- 【2011年 Rd.1 オーストラリアGP観戦ガイド】