ミシュランが2017年からF1へ復帰するのではとの噂があります。では本当に彼らはF1に復帰するのでしょうか?
もともとミシュランがF1を撤退した理由の一つは、F1のタイヤがシングルサプライヤー制度になったからです。ミシュランはモータースポーツを技術開発の一環としてとらえており、競争がない環境でのタイヤ供給には意義が見いだせないとして撤退しました。
だが彼らは考え方を改めたようです。彼らは単独供給でもF1への復帰に興味があると述べています。
ただ現状のままで、彼らはF1へタイヤを供給する意図はありません。彼らは今のようにタイヤがすぐにダメになるタイヤを作る気はありません。ピレリのタイヤは意図的にタイヤの寿命が短いように設計されていますが、そのようなタイヤをミシュランは作りたくありません。
理由は簡単でミシュランは自社のタイヤが優秀である事をPRするのにF1へ復帰するのに、そのタイヤがすぐにダメになるようでは逆効果だからです。
また彼らは18インチタイヤの使用を考えています。それはその方がより市販車のタイヤに近く、PR効果が高いからです。
このようにミシュランは単独サプライヤーとしてのF1復帰にはOKを出しましたが、決して無条件で入札に参加するわけではありません。これらの条件をFIAやバーニーが受け入れて初めて、F1へ戻ってくるでしょう。
もちろんヨーロッパの人間は、最初にいろいろな条件を突きつけておいてから交渉して、自分達に有利な条件を獲得するという、したたかな面を持っています。だからこれらの条件が全て受け入れられない場合でも、ミシュランが復帰する可能性はあります。
だが少なくともミシュランの提案にFIAなどが耳を傾けなければ、ミシュランのF1復帰はあり得ません。
ではFIAやバーニーは、このミシュランの提案を受け入れるでしょうか。残念ながらその可能性は低いと思われます。まずタイヤの寿命が延びた場合、今年の全てのレースでメルセデスが圧勝するでしょう。
スペインGPの終盤、ベッテルをかわしたハミルトンは1秒以上速い(時には3秒も速い)ペースでベッテルを引き離し、レースが終わる時には30秒もの大差を築いていました。つまりタイヤに不安がない状況ではメルセデスは今以上に速く走ることができます。
レースでは予選ほどメルセデスとライバルの差が開かないのは、単純にメルセデスがタイヤの寿命を考えて意図的にペースを落としているからです。大差が付くレースをバーニーが望むとは思えません。
また18インチのタイヤですが、昨年ピレリがテストで走行していますが、とてもピーキーでとりあえず走りましたレベルで、レーシングスピードは出していませんでした。
確かにフォーミュラEでは18インチタイヤを使用していますが、フォーミュラEとF1ではそのパワーもコーナーリングスピードも桁違いです。これを解決するのはさすがのミシュランも難しいでしょう。
これらのことを考えるとミシュランのF1復帰はかなり難しいと言えるでしょう。ただ、もしピレリがF1から徹底すると考えれば、ミシュランは有力な候補になるでしょう。
ピレリはF1の宣伝効果をよくわかっていますし、よほどのことがない限り撤退するとは思えません。しばらくはピレリの単独供給が続くと思われます。