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2011 Rd12 ベルギーGP観戦記

F1 Grand Prix of Belgium - Practice

▽レッドブルの逆襲

イギリス、ドイツ、ハンガリーと3連敗していたレッドブルがついに逆襲に転じた。

 

彼らがここまで停滞していたのは、ブロウンディヒューザー禁止騒動の対応に時間をかけていたのと、シーズン前半戦に他を圧倒するスピードを持ち、ポイントも大きなリードを持っていた為に、大幅なアップデートをしてこなかったことが大きい。

 

しかし三連敗したことにより、レッドブルも安穏としてはいられなくなった。今回、新しいディヒューザーを含めた、ロウ・ダウンフォースのパッケージを投入。これが見事に大成功した。

 

昨年までのレッドブルは、直線部分が多いセクター1とセクター3は、ライバルに比べて0.20.3秒遅く、コーナーの多いセクター20.40.5秒速く、トータルでは0.10.2秒速いというのが傾向だった。

 

ところが今年のレッドブルは、セクター2は昨年までと同じように速いのだが、セクター13でもライバルとほぼ同等のタイムを記録できるまでに進化した。

これには、新型ディヒューザーの効果が大きい。

通常、F1マシンは大きく分けてフロントウィングとリアウィングとディヒューザーでダウンフォースを得ている。

その割合は、フロントウィングで25%、リアウィングで35%、ディヒューザーで40%程度である。

リアウィングとディヒューザーは同じ程度のダウンフォース量を得ているが、実は生じるドラッグには大きいな差がある。

 

ドラッグとは抵抗のことであり、ダウンフォースが生じる際に生まれる後ろ向きの力である。

同じダウンフォース量を得た場合、ディヒューザーの方がリアウィングよりもドラッグが少ない。

だから同じダウンフォース量を得られるならば、リアウィングよりもディヒューザーで稼いだ方が、効率が良い。

 

レッドブルは、今回新しいディヒューザーを投入することにより、小さなリアウィングを搭載し、以前と同じレベルのダウンフォースを生みながら、直線スピードも速いマシンを作り上げた。

 

これではライバルチームは手も足も出ない。

予選こそ雨の影響でウェバーは3位だったが、決勝では1-2フィニッシュ。

これはマシン的に見れば、必然的な結果だったと言わざるを得ない。

 

このスパと次のモンツァは特殊なサーキットで直線部分が長い。

だから例年レッドブルはこの2レースを苦手にしていた。

だがスパで圧勝したことにより、次のモンツァでも競争力があると見込まれる。

 

ライバルチームはスパとモンツァでは勝って、レッドブルにプレッシャーを掛けて自滅を狙いたかったのであるが、今回は1-2フィニッシュという結果以上に、差を見せつけられたレースとなった。

 

ライバルチームにとっては、憂鬱な秋となりそうである。

 

  ブリスターに悩まされたレッドブル

今回各チームがブリスターに悩まされたが、レッドブルのそれが一番ひどく、それが彼らのペースを実力以下に抑えさせていた。

それはフロントのキャンバー角を、ピレリの推奨値より大きくつけていたのが原因である。

こうするとコーナーでのスピードが増すが、ブレーキング時のスタビリティは落ち、直線でタイヤの内側が過熱しブリスターが出やすくなる。

 

予選Q3終了時のブリスターがひどかったレッドブルは、危険であるので安全性の為、新品タイヤでのスタートを主張していたが、これはあっさりと却下されている。FIAは安全性の問題ではなく、セッティングの問題であると判断し、レッドブルの要請を却下した。

FIAはレッドブルが危険であると判断するのであれば、セッティングを変更し、ピットからスタートするべきであると通達。

レッドブルは、セッティング変更もタイヤ交換もしないままスタートした。

 

だがそのために、彼らはスタート直後からタイヤ交換することになった。

だが幸運なことに今回は各チーム大なり小なりブリスターが出ていたが、タイム的に大きく落ち込むこともなくレースができたので、レッドブルの12フィニッシュを阻むまでには至らなかった。

 

▽それでもマクラーレンは速かった

レッドブルは速かったのだが、それでもマクラーレンには競争力があった。

バトンはQ2で脱落しなければ、レッドブルに肉薄できていただろう。

 

だがそれでも、ベッテルの勝利を阻めたかどうかは、疑問だ。

とういうのも彼は13位からミディアムでスタートしている。

予選上位でスタートしていたら、ソフトでスタートしていただろう。

 

更に彼はスタート直後の1コーナーで、ヒットされリアウィングを大きく損傷しており、一歩間違えば即リタイヤもあり得たし、ウィング交換でピットインして大きく遅れなかったのは幸運としか言いようがなかった。

これは後方からスタートする際の大きなリスクである。

 

一方のハミルトンは優勝争いできた可能性が高いのだが、いつものように自滅した。

彼は今年、何回自滅して優勝争いをフイにしてきたのだろうか。

今回は明らかに彼のミスだった。

 

あの場面で、外側にマシンを動かす必要はなく、そのままターンインすれば何事もなかったのだが。

 

▽フェラーリも速いだがソフトだけ

ソフトタイヤを履いたアロンソはレッドブルに接近できていた。

だがミディアムに履き替えた途端、まるで別人の様に遅くなり、あっという間に順位を落とし4位が精一杯だった。

 

これは今年のフェラーリの特徴で、ピレリのミディアムやハードを履くとまったくペースが上がらない。

タイヤに優しく、タイヤの温度が上がりにくいマシン特性と晴れたとはいえ、気温が低かったので、まったく動作しなかったのだろう。

 

フェラーリもサスペンションを変更したりして、対策をしているのだが、あまり効果がないようで、シーズン中にアップデートした、リア・サスペンションを元に戻している。

これではアロンソでも厳しい。

 

一部にはSC導入時にタイヤ交換しなかったことが問題と言われているが、ハード側のタイヤでこれだけペースが遅いと、どこでタイヤ交換しても結果に大差はなかっただろう。まるで別のマシンで走っているみたいに遅かった。

 

▽苦しい可夢偉

可夢偉はなかなか厳しい状況にある。

今回は、無線のトラブルによりSC導入時にチームからピットインの指示が聞こえずに、1周した後にタイヤ交換したために、大きく順位を落とした。

これさえなければ、入賞はできた可能性が高かった。

決勝レースは晴れと予測し、ドライ用のセットアップにしていただけに、悔やまれる無線トラブルだった。

それがなければ、ハミルトンと接触してマシンのバランスを崩すこともなかった。

 

中堅チームはこういうマイナーなトラブルが非常に多い。それがトップチームとの差をより広げている。最近はフォースインディアのスピードも増してきており、ザウバーは前半戦の勢いを失っている。資金的な問題もあり、アップデートのスピードも思うに任せない。

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