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フェラーリ トラブル頻発の背景

フェラーリは“ロリポップマン”を起用せず、独特の信号を使っている。 バレンシアでピットストップ時に問題が発生したことから、その方法を断念すべきとの意見が聞かれるものの、チームを率いるステファノ・ドメニカリはそれを擁護している。 フェラーリが導入しているのはライトを使った新システム。 主要なメカニックがボタンを押すと、ドライバーに“グリーン”ライトが掲示される。 しかしながら、ヨーロッパGP決勝レースで、優勝を果たしたフェリペ・マッサが他のマシンがピットストップを終えて向かってきているところでピットアウトするという議論を呼ぶような行為をし、キミ・ライコネンはすべての作業が完了する前に動き出してしまい、メカニックがケガを負うという事件があった。 マッサの状況に対応していく上で、ドメニカリは「ピットアウトしていくドライバーにとって安全でない状況であればグリーンライトをつけるのを遅らせるというのが1人のメカニックの仕事だ」とレース後に報道陣に語っている。 さらに、ライコネンが物理的な“ロリポップ”がないことで困惑したとの主張を否定したドメニカリは次のように締めくくった。 「赤信号は赤信号さ。ロリポップが下がっている状態と変わらない」 このドメニカリの発言の中で、安全でない状況であれば青信号を点灯するのを遅らせればいいと言うのは正しい。 マッサの場合、新システムの問題ではない。 ロリポップを使っていても、同じ問題は発生していただろう。 ただ、青信号の点灯を判断する人間がどこにいるのかは、問題である。 ピットロードの状況とピット作業を同時に見ることができない場所にいれば、同じ問題がまた起こる可能性はある。 だが、ライコネンが早くマシンを動かしたことを、防ごうとすればロリポップは有効だ。 人は目の前にモノがあれば、動かない。 実際、過去に早く動いたドライバーの多くは、ロリポップマンが早くロリポップを動かした場合に、マシンを動かしている。 ロリポップが動かないのに、クラッチをつなぐドライバーはほとんどいないことから、この方法は単純だが有効であることを証明している。 では、信号方式はどうだろう。 信号は光っているので、人間には目は認識しやすいのだが、F1が開催されている昼間の場合、明るいのでライトが、認識しにくい。 さらに信号は、ドライバーの視線の上にあるので、視界の狭いドライバーには、見にくいし、意識を少し上にあるライトに集中し、クラッチをつないで、少し下を見るという行為は、ロリポップを使うよりも、はるかに複雑である。 前に壁があるのに突っ込む人はいないが、信号を見落とす人はいる。 これは、SC導入時のピットアウト時に、赤信号を見落とすドライバーがいることで証明される。 もし、ピットアウト出口に障害物があれば、突っ込むドライバーはいないだろう。 トラブルが発生したときに、もっと注意をすればいいというのは簡単だ。 だが再発を防ぎたければ、トラブルが起こらないような仕組みを作るのが必要。 人間は間違いを起こすという前提で、システムを作らない限り必ず再発する。 今年のフェラーリに驚くほどトラブルがあるのには、こういう考え方の背景があるのだと思う。 トラブルをなくせと言うだけではなく、トラブルが見過ごされないシステムを作らなければ、トラブルは何度でも起こるし、実際起こっている。 これから残りが少なくなるF1で、一つのミスが命取りになる。 フェラーリは最速のマシンを持ちながら独走できないのは、このような考え方があるということを、首脳陣は認識すべきだろう。

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