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2008 Rd.16 中国GP観戦記

▽アンタッチャブル ハミルトン 今回のフェラーリは、ハミルトンにかないませんでした。 気温もそれほど低くはなく、フェラーリにとって悪い条件ではなかったのですが、ハミルトンの好調ぶりは、週末を通して変わりませんでした。 もっともフェラーリも二位と三位ですから、不調と言うよりは、ハミルトン一人にやられたというのが、正しいのかもしれません。 ライコネンもレース中には、ハミルトンに匹敵するタイムを出せた時期もありましたが、レース全体を見るとハミルトンのミスがない限り勝つ可能性はなかったと言えるでしょう。 本来であれば、ハミルトンのミスを誘うためにも、エンジンを酷使させるためにも、レースの最後までプレッシャーをかけたいところでしたが、 ライコネンはマッサを先に生かせるために、マッサが追いついてくるまで待っていました。 それでもマッサはライコネンに追いつくのに時間がかかっていたので、ライコネンが譲らない限り、実力で彼を抜くのは難しかったでしょう。 それにしても、ライコネンがマッサを抜かせるシーンは、少し笑ってしまいました。 ライコネンが、マッサを意図的に前に行かせることは、誰もが理解していました。 それにしても、ライコネンの抜かせ方は、あまりにも、あからさまでした。 普通、少しくらいは競り合う素振りを見せるものですが、ライコネンの精一杯の抵抗なのでしょうか。 コーナーのかなり手前でブレーキをかけていましたから、まるで周回遅れのような抜かれ方でした。 レース後のインタビューで悪びれずに、それを認めるライコネンもおもしろかったですね。 普通、チームオーダーは禁止されているので、聞かれても誤魔化したりするのですが、彼には直球勝負しかないのでしょう。 ライコネンらしいですね。 ただハミルトンも、決して余裕があったわけではありません。 レース中には何度かマシンの姿勢を乱す場面もありました。 予選でもQ3最初のアタックをミスして、2回目のアタックはプレッシャーがあったと思います。 前回ミスしたスタートでもプレッシャーがありました。 でも、共に集中してプレッシャーに打ち勝ったハミルトンの走りは素晴らしかったと思います。 ただ、彼を褒めるのは最終戦が終わるまで待った方がいいでしょう。 最終戦はハミルトンとマッサが7ポイント差で臨みます。 マッサとしては4ポイント差以内で最終戦に臨みたかったところです。 ブラジルでフェラーリが1-2フィニッシュして、3位にハミルトンが入った場合に逆転できるからです。 現在の戦闘力を考えるとフェラーリとマクラーレンが問題なく走りきれば、ルノーやBMWは逆転することは難しい状況です。 それを考えるとハミルトンが3位狙いでレースをできれば、マッサに逆転の可能性は極めて少ないでしょう。 ただレースでは何が起こるかわかりません。 これがハミルトンであればなおさらです。 昨年のハミルトンは4位でOKだったのに、3位のアロンソに仕掛けて自滅しました。 今回のハミルトンはマシンの調子も良く、スタートから逃げ切れたので問題ありませんでしたが、ブラジルでどういうレースを見せてくれるかが注目しましょう。 ▽好調続くアロンソとベッテル 2連勝を飾ったアロンソは、この週末も好調を維持しました。 予選は4位からスタートし、4位に入賞。 レースペースはフェラーリに匹敵する時期もあり、フェラーリにピット作業のミスがあれば、アロンソの表彰台も十分に可能でした。 ただアロンソは幸運を過去二戦で使い果たしていたので、今回の4位は納得の結果でしょう。 ベッテルは続いていた入賞記録が5で止まりましたが、ピットでの作業ミスがなければピケJrをかわして、8位入賞の可能性もありました。 しかし波乱のないレースで、トロ・ロッソで9位フィニッシュは立派な結果だと思います。 彼の前にはマクラーレン1台、フェラーリ二台、BMW二台、ルノー二台、トヨタが一台です。 ここまで上位陣が完走してしまうと、プライベータには厳しくなります。 ▽日本勢は トヨタはグロックが7位入賞です。 ツゥルーリはスタート直後の混乱に巻き込まれてリタイヤでした。 三戦連続の入賞でトヨタは好調を維持して、最終戦に臨みます。 ホンダはバリチェロが頑張りました。 予選ではQ2に進出し14位、決勝も11位でフィニッシュです。 波乱の少ないレースで、今のホンダのマシンの競争力を考えると、素晴らしいパフォーマンスといえるでしょう。 中嶋一貴は予選での結果が悪すぎました。 予選17位では決勝でできることは限られています。 ▽いよいよ最終戦 ロン・デニスは早くも、「優勝はフェラーリに譲ってもいい」と明言していますし、ハミルトンも「それは了解している」と話しています。 ハミルトンはブラジルでどのような走りを見せるのでしょうか。 ハミルトンがトップを走っていても、2位か3位に順位を落とすくらいの走りができれば、問題ありません。 とにかくマシンをいたわって、完走する走りです。 ブラジルの気候は、ハミルトンの二戦目のエンジンに優しいとはいえません。 また、最終戦のブラジルではジョーカー(※)を使うことができません。 予選までにハミルトンのエンジンに問題が起きた場合、グリッドの10番手降格が決定します。 一方、フェラーリは失うものは、何もありません。 予選、決勝と全開で来るでしょう。 そのフェラーリに、ブラジルの気候は味方してくれるでしょう。 気温が高くタイヤ温度の問題はないでしょうし、最初のコーナーがタイトですので、波乱の起きる可能性があります。 さらに、スコールの降る可能性も決して低くはありません。 そうなれば、大混乱のレースになることは必死です。 波乱の多かったシーズンですが、最終戦もペナルティ無しでフェアなレースを見たいと思います。 ※ジョーカー: 2レースで1エンジンの使用が義務づけられており、2レースが終了する前にエンジン交換した場合、グリッドが10位降格される。 2008年度より1シーズンに1度だけ、グリッド降格なしに、このエンジン交換が認められた。 このレギュレーションのことを、通称として「ジョーカー」と呼ぶ。 ただこのジョーカー、無条件で使えるわけではない。 ジョーカーは、エンジンに技術的な問題がある場合にのみ、交換が認められる。 スカパー!の放送の中で、日本GPでのハミルトンのジョーカー使用の件が話されていたが、ハミルトンは日本GPでジョーカーを使わなかったのではなく、使えなかったのが真相である。

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