マクラーレンの新車が期待できるもう一つの理由
今年のマクラーレンの新車MP4-30Hは期待できるかもしれない。
というのもロン・デニスやジェンソン・バトンが今年のマシンは非常に正確にフィッティングができていると述べているからである。
フィッティングとはマシンのボディカウルなどの立て付けのことである。F1も工業製品の一つである以上、パーツ一つ一つの寸法を完璧に合わせることが難しい。問題はどこまでその精度を求めるかである。
もちろん精度を求めれば求めるほどフィッティングは合う。だが当然パーツの作成に時間と費用もかかる。
F1の場合は費用面は度外視できるが、パーツの製造に時間がかかるのは、新しいパーツの投入が遅れることにもなり、あまり好ましくない。
だがボディカウルの立て付けが良好であれば、空力的なメリットも大きくなる。
そして全てのF1チームの中で最もフィッティングに力を入れているのが、レッドブルである。レッドブルのマシンが速いのは、もちろんニューウェイの優れた頭脳が寄与している面が大きい。
だがそれと同じくらいにマシンの隅々まで気を遣って作成されていることが、マシンを見るとよくわかる。そしてそのことがレッドブルの強さの源でもある。
またMP4-30のパッケージはタイトであると、マクラーレンのエンジニアもホンダも認めている。マシンの機械部分をギリギリに詰め込めば、その分空力的な自由度が大きくなり、性能的なメリットを得られる。
だが詰め込みすぎると、温度が上昇したり、振動が伝わり、マシンの信頼性に問題が出てくる。つまり今年のマクラーレンのマシンは、非常に攻めた作りになっているということである。これは間違いなくマシンの競争力を向上させる。
昨年の途中にレッドブルからニューウェイの右腕といわれていた、プロドロモウがマクラーレンへ移籍してきた。その彼の影響が早くも出てきていると見ていいだろう。
もしマクラーレンが彼らの言うように、隅々まで注意してマシンを製造しているのであれば、それは彼らの競争力に大きく寄与することだろう。
今年のマクラーレンは期待できそうである。
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