マクラーレンがショートノーズを開発する理由
マクラーレンが新しいノーズのFIA検定に合格した。彼らはそのノーズを含めた新しいエアロパッケージをオーストリアGPに持ち込みキャッチアップを目指す。
マクラーレンの新しいノーズは短いと言われている。ではなぜマクラーレンはノーズを短くするのであろうか。
それは短いノーズの方がダウンフォースが増えるからである。簡単に説明するとF1の場合、より多くのきれいな流れの空気をマシンの底へ流し込み、それを後ろのディヒューザーから抜き出すと大きなダウンフォースが生まれる。だからより多くの空気をフロントから取り入れるのが鍵になる。だからハイノーズは流行ったのである。
ところが昨年、レギュレーションが変更になりフロントノーズの位置を下げなければならなくなった。そこで記憶に新しいあの醜いノーズが続出したわけである。ノーズは下げたくない、でも下げなければならない。そこでレギュレーションの部分だけ下げて、他の部分は上げたのが、あの醜いデザインとなった。
そこでFIAは今年レギュレーションを変えて、醜いノーズを消そうとした。そこで表れたのが長いノーズと短いノーズである。メルセデスは短いノーズの代表で、フェラーリとマクラーレンは長いノーズの代表である。
この二つの差は写真で見ると一目瞭然である。下の写真を見比べて欲しい。
少し見にくいかもしれないが、短いノーズの方がより多くの空気を流すのがおわかりいただけるだろう。
ではマクラーレンやフェラーリはどうして長いノーズを選択したのであろうか。それはノーズを短くすると衝撃を吸収する長さが確保できずに、クラッシュテストに合格するのが難しくなるからである。実際、マクラーレンは今回の新しいフロントノーズを投入する前のFIAテストに5回失敗している。ノーズを短くすると当然、強度を上げなければならず重量増を招くのもネガティブな要素である。
実際、マクラーレンとフェラーリのノーズは長い上に太い。メルセデス短い上に細い。明らかに違うノーズ形状である。
だがメルセデスはその困難な目標に挑戦し、成功したから彼らは速い。彼らの速さの源がそのパワーユニットにあるのは間違いない。だが同じPUを搭載しているマシンがあるのに、メルセデスだけが速いのは、マシンにもその速さの秘密があるからである。
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