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マネーが全て 2013年 F1移籍事情

リカルドがレッドブルに行き、ライコネンがフェラーリへ舞い戻る。そしてマッサのウィリアムズ入りが発表された。今年の移籍市場の裏側を少しのぞいてみよう。 今年の移籍市場の最大の話題はお金である。ドライバーの契約金ではなく、いくら持ち込めるかと言うことである。交渉する前にお金の話をされる。これでは予算を持たないドライバーはつらい。ここ数年でも実力と実績のあるドライバー、ツゥルーリやコバライネン、可夢偉などがシートを失っている。 私自身はペイドライバーに否定的ではない。実力だけでドライバーが選ばれればいいと思うが、そもそもマシンという道具を使って争うスポーツなので、実際の実力を見極めるのが非常に難しい。今のビッグビジネスになったF1において、新人を起用するには大きなリスクがある。だから最初のとっかかりとしてお金を払ってF1に乗るのはありだと思う。だが今の状況は、いきすぎの感が強い。 このままでは22人のF1ドライバーのうちペイドライバーが半数を占める勢いである。しかも今年はその金額が桁違いになってきた。昨年までであれば実力と実績があれば一桁億円でシートを得られた。ところが今年はそれが文字通り一桁上がり、数十億円ないとシートが得られない。実績と実力があってもである。過去にはチーム側も実力と持参金の額を天秤にかけて選ぼうとした。だが今年は違う。とにかく20億円以上ないとそこそこ競争力のあるシートは手に入らない。そこそこの競争力のあるシートとは一応入賞は狙えるレベルという意味に解釈して欲しい。もはやお金の額だけでドライバーを選ぶ時代がやってきた。 可夢偉の名前が移籍マーケットに出てこないのは、こういう事情がある。いくら実績があってもお金がなければ交渉にもならない。彼のマネージメントがチームと話をしても、まずお金の話をされる。これではいくらドライバーが実力があり、マネージメントがしっかりしていても、シートを得るのは困難である。 これは明らかにいきすぎである。もっとも彼らにも言い分はある。マックス・モズレーが推進しようとした予算制限が実質、骨抜きにされ野放し状態になっている。もちろんテスト制限や夏休みの導入などはしたが、抜本的な解決にはほど遠い。確かに今の予算レベルはピークの時の半分ほどにはなっている。それでもF1を入賞を争えるレベルで戦おうとすると最低100億円以上の予算は必要となる。 チームも実力あるドライバーを選んで、成績を向上さてて、分配金を増額したいという気持ちはある。だが来年の成績はマシンの開発次第で上下する。開幕してみなければ競争力がわからないというは、かなりのギャンブルである。さらに自分のチームがいいマシンを持ち込んでも、他がもっといいマシンを持ち込めば相対的な成績は下がり、分配金の分け前も少なくなる。それに、そもそも運転資金自体に逼迫していれば、来年の分配金などといっていられない。今すぐお金が欲しい。まさにShow me the money!である。 もちろんチームにも問題がある。バブルの頃よりはスリム化されているが、それでも今の予算規模であれば余剰の人員と施設を抱えている。またスポンサーへの対応も適切とはいえない。彼らはスポンサーのロゴをマシンに乗せて終わり。多少のプロモーション活動には協力するが、それだけである。スポンサー企業の売上向上のために、一緒に協力していく姿勢が少ない。これでは短期間でスポンサーが撤退するのも当然である。 これまでもペイドライバーだけを起用してきたチームもあったが、そうなると成績が落ち、優秀なテクニカルスタッフが止めていき、さらに成績が落ち、スポンサーが撤退し、さらに資金難になるという負の連鎖が始まる。こうなると転落を止めることはかなり難しい。だから一人だけならいいが、二人ともペイドライバーにするのは危険な賭けである。だがそうでもしなければならないほど、今のチームは追い込まれている。 ライコネンへの給与未払いが明らかになったが、あれは氷山の一角である。他にも支払いを受けていないドライバーは確認できているだけでも複数人いて、支払いの遅延も含めれば相当数の支払いが滞っている。さらにチームに納品しているサプライヤーへの支払いも遅れており、F1業界自体が危機的な状態である。それでも赤字のチームが参戦し続けられるのはF1ブランドの威光である。もし彼らが普通のレーシングチームであればとっくに破綻している。 その為にはFOMは分配金を増やし、チームは予算規模を縮小し額を制限して、分配金内でF1チームが運営できるようにしなければならない。だがF1は株式上場前で関係者数が多くなりすぎ、これを実現するのは並大抵のことではない。バーニーかトッドがリーダーシップを発揮しなければならないのだが、まだ22台がグリッドにいてまだ彼らは困らない。 来シーズン今の11チームが全部揃っている保証はない。一つや二つ少なくなっても驚きはしない。今、F1は抜本的な改革をすべき時に来ている。もはや待ったなしである。 関連記事:2014年のシート争い 可夢偉の名前は? 関連記事:小林可夢偉 2014年のシート獲得は困難 関連記事:アロンソ欠場の可能性も代役に可夢偉の名前なし

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