ギャンブル失敗にみるレッドブルの挑戦
今回のレースでミディアムを使用するドライバーはいないと思われていた。ところがスタート直後のセーフティカーでギャンブルをするチームがいた。レッドブルの二台である。
彼らはなんとセーフティカーが出た際に、タイヤ交換を実施。ミディアムタイヤに交換した。だが普通に考えれば、ここで投入するタイヤはソフトである。
これはクビアトがベッテルと接触し、フロントノーズを壊したことや、リカルドもその巻き添えでダメージを負ったことも理由の一つである。
タイヤ的にはミディアムで最後まで走りきることは可能だっただろう。というのもレッドブルはミディアムを1セットしか持ち込まず、しかもフリー走行で走ることがなかったので、データそのものがなかった。
彼らが上位に進出するにはこれしか方法がなかったのも事実である。だがマシンに損傷があったにせよ、彼ら二台のペースは全く伸びなかった。事実、リカルドは2回目のタイヤ交換を29周目にせざるを得なかった。あまりにもグリップがなく、タイムが遅かったからである。
結局、リカルドは11位でレースを終えた。リカルドが最初からソフトタイヤに履き替えていれば、入賞は可能だっただろう。
だが入賞だけを狙うのではなく、さらに上位を目指す為に彼らは、あえてギャンブルと言える、ミディアムタイヤ装着を選んだ。これは成功の可能性がかなり低いギャンブルだったかもしれない。だがそれでも上位を目指す為に、挑戦する姿勢はさすが元チャンピオンチームである。
実際問題として、彼らに勝てる可能性があるかと言えばない。だがそれでもギリギリまで攻める作戦は見ていて気持ちが良い。
前を走りながらタイヤ交換時期が遅れて、順位を失うチームも多い中で、結果はともかく、攻撃的なレッドブルの作戦は、保守的な作戦が多い昨今のF1に新しい風を吹き込んでくれた。
こういう姿勢があるからこそ、メルセデスの圧勝した2014年にリカルドが三回も勝てたのである。
今回のギャンブルは失敗したが、レッドブルの攻めの姿勢に感じることが多いレースであった。
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