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帰ってきた強いメルセデス フランスGP観戦記

フランスGPが帰ってきた。前回の優勝者がアラン・プロストとか聞くとオールドファンにたまらない。例えセナのファンだったとしてもだ。
生まれ変わったポールリカールは、まるで様相が変わり、中東にできた新設のサーキットのようであった。かつての面影が少なかったのは残念だが、レースを振り返ってみよう。
まずこのレースでメルセデスはアップデートしたPUを持ち込んだ。前回カナダで持ち込む予定だったが、ダイナモでテスト中に問題の兆候が見つかったので延期されていたPUである。
ただそれが簡単にできたわけではなく、問題の有無を確認するのに時間がかかり、フランスGP投入のゴーサインが出たのは金曜日が終わってから。かなりギリギリの判断となった。
それでも予選でのメルセデスのフロントロウ独占とハミルトンの圧勝を見ると、その成果は十分すぎるほどあったと言える。もっとも噂によればパワーアップは15馬力ほどで、そこまで大きな効果があったわけではないようだ。それでもポールリカールのラップタイムで言うと予選で0.3秒、決勝でその半分程度のゲインがある。今年は競争が激しいので、それだけのゲインがあればハミルトンにとっては十分だった。
ハミルトンにとってアップグレードよりもフレッシュなパワーユニットを投入した効果の方が大きかった。距離を走ったエンジンはパワーが落ちる。前回カナダでは7戦も使ったエンジンだったので、その効果は大きかった。
そしてそのメルセデスに対して、対抗できる唯一の存在がベッテルだった。タイヤのウェアに一抹の不安のあるメルセデスはスーパーソフトスタート。
ベッテルはウルトラソフトでスタート。グリップの良さを活かし、スタートでメルセデスを抜こうと試みる。そしてその作戦は成功寸前だった。
蹴りだしからの加速が抜群だったベッテルはトップのハミルトンに迫るが、ハミルトンはイン側を抑え、アウトサイドにはボッタスがいて、ハミルトンを抜くためのスペースがない。ハミルトンとの接触を避けるためにベッテルは先にアクセルをオフにせざるを得なかった。
そうしてボッタスが前に出たのだが、ベッテルはターンインしてくるボッタスを避けられず接触。大きく順位を落とすことになった。
ただベッテルとフェラーリの作戦はもう少しで成功しかけた。ウルトラソフトでスタート加速をよくして、ハミルトンの前に出られれば勝利は夢ではなかった。レースペースではメルセデスとフェラーリの差は予選ほどはないし、今のF1は言うまでもなく追い抜きが難しい。
ほんの紙一重の差だったが、ベッテルとボッタスが接触したことにより、ハミルトンが独走し大きな差となって結果に現れた。
▽惨敗のトロロッソ
残念ながら今回のトロロッソはいい結果を残せなかった。金曜日にはハートレーのPUにトラブルが出て、総取っ替えとなり最後尾スタート。ガスリーも14位スタートだったがオープニングラップでオコンと接触してリタイアとなった。
ドライバーはストレートスピード不足を訴えていたが、ホンダによるとデプロイが切れているということはないようだ。かといって車体側も問題点を把握できずに、対策も間に合わないまま、予選決勝を迎えてしまった。この部分はやはりトロロッソの規模では、現場と工場側が連携して対応していくといくとができないのだろう。メルセデスとかであれば土曜日に問題があっても日曜日には対応することが可能なんだが、規模が違うのだから比較しても意味はないが。
ただ暗い週末を過ごしたホンダにとって、レッドブルとの契約は明るい話題であった。これについては別のコラムで詳しく話してみたい。