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世界の強豪相手にGP3デビュー<BR>桜井孝太郎選手、混戦バトルを生き抜き、連続完走

昨年、イギリスF3選手権ルーキークラス史上最年少チャンピオンを獲得した桜井孝太郎選手(17歳)が、F1世界選手権のサポートイベントとして開催されるGP3シリーズに日本人として初めて参戦。見事デビュー戦で2戦連続完走を果たしました。
GP3開幕戦は5月11~13日、スペインのバルセロナ・サーキットで開催されました。金曜日早朝、45分間のフリー走行で、コースの習熟と、マシンのセットアップ、タイヤの皮むき等をこなし、土曜日に予選、第1レース、日曜日に第2レースというスケジュールのGP3は、慌ただしいテンポで動いていきます。

この短い走行時間の中で、いかにエンジニアとセットアップを煮詰めるか、コースを自分のものにするかが、GP3の難しさです。しかもF1が走行するため、路面状況が刻々と変化し、ブレーキングポイントやシフト・ポイントまで変化していきます。上位カテゴリーのGP2と同じタイヤ、同じレーススケジュールで動くことで、将来GP2、そしてF1を目指すドライバーのトレーニングになるように考えられているシリーズなのです。
金曜日のフリー走行は16番手。土曜日の予選では終盤まで9番手につけた桜井孝太郎選手ですが、アタックが早かったせいか、路面状況が好転したラスト3分で次々と各選手がタイムアップし、決勝スタートは15番手グリッドとなってしまいます。
土曜日午後の第1レース。スタート良く、1コーナーから2コーナーにかけて2台をパス。その後、12番手まで順位をあげたところでアクシデントのためセー フティーカーが入り、再スタート。順位をキープしつつ周回を重ねたところ、ラスト2周のヘヤピンコーナーで前の2台が軽く接触。その瞬間に、桜井孝太郎選 手はさらにそのインに飛び込み2台を一気に抜こうとしたのですが、アウト側のマシンと接触してハーフスピン。ラインを外したところでタイヤがゴミを拾って しまい、加速が鈍ったそのわずかな隙に、一気に右、左から5台のマシンに抜かれ、一瞬にして逆に18番手まで順位を落とし、そのままチェッカーとなりまし た。激しいバトルの洗礼を受けた桜井選手ですが、まずは完走を果たしました。

続く日曜日の第2レース。18番手グリッドからスタートした桜井孝太郎選手は、着々とポジションをあげ、一時は11番手までアップ。しかし前方で発生した 多重クラッシュを避けるためダートに飛び出し、大きく順位を落としてしまいますが、再び粘り強いアタックで毎ラップのようにポジションをあげ、最終的に 12位完走を果たしました。

●デビッド・ケネディ監督のコメント
「今年の孝太郎選手育成プランの第一段階は、まず完走して走行距離を稼ぎ、肌感覚でGP3の激しいバトルに慣れることです。今回のレースでの孝太郎選手の レースペースは非常に印象的で、オーバーテイクも誰よりも多く、潜在的なポテンシャルを感じさせてくれました。私とのレース前の約束どおり、すべてのアク シデントを避けてマシンをゴールまで運んでくれたのも充分な評価に値します。第1レースでチャレンジして失敗した悔しさは、彼にとっていい経験になったは ずです。甘い世界ではないですが、今年1年間を通じて、孝太郎選手が大きく成長してくれると確信できたレースでした」

●桜井孝太郎選手のコメント
「プラクティスから、テクニカルセクションでは、全ドライバー中、最速の区間タイムを出せていただけに悔しさの残るレースでした。予選でも最後のひと押し と言うところで踏ん張れなかった。それが今の一番の課題ですね。予選でひとつでも前にいられたのなら、もっと違うウィークエンドになっていたと思います。 でもレースでは自分から積極的に動いてチャンスを作り、セカンド・レースのポールポジションを争っていました。自ら攻めた結果、ポジションを落としてしま いましたが、まだまだシーズンは先が長いのでチャンスがきたら常にハングリーに攻めていないとダメだと思ったので、今後に上手くつなぐ事のできるレース内 容だったと思います。次は伝統のモナコGPです。17歳のうちにモナコで戦える環境に感謝しますし、とても幸せに感じています。後は自分の走りでもっと もっと幸せになります(笑)」

●桜井孝太郎・略歴
1994年6月29日 東京生まれ。9歳からカートを始め、2010年度BMWのオーディションに合格し、スカラシップドライバーとしてフォーミュラBMWで4輪レースデ ビュー。2011年はヨーロッパに渡り、イギリスF3ルーキークラスに参戦。16歳321日で最年少クラス優勝記録を更新、そして30戦15勝、イギリス F3史上最年少となる17歳と87 日でのルーキークラスチャンピオン獲得を達成した。今シーズンはF1グランプリのサポートイベントであるGP3シリーズに、日本人として初めて挑戦中。

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