ライコネンの幸運と不運 フランスGP観戦記 2008 Rd.8
▽フェラーリ 1-2フィニッシュ
フェラーリが絶対有利で臨んだフランスGP。
ポールポジションを取って、スタートからリードを得て、二位以下を引き離すライコネン。
最近、波乱のレースが続いただけに、今回は何事もなくレースは終わると思われた。
ライコネンのエキゾーストパイプが破損するまでは。
カナダGPでのハミルトン激突に続き、ライコネンには何の落ち度もないが、ほぼ手中にしていた優勝を逃してしまった。
エキゾーストパイプは、F1に残された数少ないアナログな職人芸の世界であり、割れることがないわけでもないが、それにしてもこの場面で壊れるとは、不運といわざるを得ない。
エキゾーストパイプが破損することにより、ライコネンはパワーロスを強いられ、しかもトルクの出方も変わったと思われるので、かなり運転しにくかったはずだ。
症状的にはかなり深刻だったようで、あとレースが数周長ければ、フィニッシュできなかったかもしれないと語っている。
そうであればライコネンは、二位でも満足しなければならない。
もし、ライコネンがここでリタイヤしていたら彼と、ランキングトップであるマッサとの差は、13ポイントまでひらく。
現在のF1マシンの信頼性の高さと、差が少ないポイント制を考えると、自力でひっくり返すのは、難しい数字だ。
今回、最大のライバルであるマクラーレンの二台は、ペナルティで優勝争いにはまったくからめず、ライコネンはトラブルにもかかわらず、二位をキープできた。
ライコネンは、二位にだったとはいえ、ランキングトップのマッサとの差は5ポイント。
まだまだ、十分自力で逆転可能。
そう考えると、ライコネンのフランスGPの二位は、輝く価値を持つ。
しかも、今年から1度だけ規定外でのエンジン交換が認められている。
恐らくライコネンは、イギリスGPで二戦目となるエンジンを交換する可能性が高いので、これも彼にとって幸運である。
イギリスGPもフェラーリ同士の戦いになると予想されるので、ライコネンは逆転チャンピオンに向けて、重要なレースをペナルティなしで、迎えることができる。
▽ツゥルーリ歓喜の三位
今シーズン、ここまで好調を維持していたツゥルーリが表彰台の一角を占めた。
マクラーレンの二台がペナルティで後退したとはいえ、BMWを下しての三位は価値がある。
特に、先日トヨタのヨーロッパでのモーター・スポーツの礎を築いたオベ・アンダーソンが亡くなったばかりであるので、これはトヨタにとっては3位以上の価値があるだろう。
マクラーレン不在のレースで、表彰台を狙っていたアロンソだったが、スタートでツゥルーリで先行され、苦しい展開。
有利な奇数グリッドからのスタートだったのだが、活かすことができなかった。
カナダでもスタートで出遅れたルノーは、スタートが苦手になったように見える。
かつては、最高のスタート能力を持つマシンだったのだが、新しいECUを使いこなせていないのだろうか。
最後には、ミスも出てネルソン・ピケJrにも抜かれて8位フィニッシュ。
落胆の大きいレースとなった。
今年のアロンソを見ていると、確実にポイントを取りにいくのでなく、表彰台を狙って一発勝負を狙っている。
モナコ、カナダ、フランスとそれが、裏目に出ている。
もう少し、落ち着いた戦略をとったほうが、結果につながるように思えるのだが。
▽マクラーレン自滅
カナダGPでのペナルティから10番手降格のペナルティを得たハミルトンは13番手グリッドからのスタート。
1周目にベッテルをパスしたときにシケインをショートカット。
ここで、余計なペナルティをもらって入賞すら望めなくなった。
若いハミルトンが、ここでアクセルを戻すのは難しいので、チーム側が的確に指示するべきだった。
確かに、チームが主張するように、ベッテルをシケインの前に抜いていたかもしれないが、チーム側の判断に甘さがあったように思える。
前回のカナダの赤信号でも、ピットからの指示が遅れたことが、衝突を招きペナルティとなっただけに、今回の連続無得点は、ハミルトンにとっては痛い代償となった。
正直言って、この連続無得点でハミルトンのチャンピオンのチャンスは、かなり小さくなったと言わざるを得ない。
コバライネンも、予選中にアタック中のマシンを妨害したことで、スタートグリッド5番手降格にペナルティ。
これも、邪魔したウェバーは次のラウンドに進出しているので、ペナルティを課すべきかは微妙な判断だった。
コバライネンとハミルトンは両方とも、ペナルテイがなければ、表彰台を狙えただけに痛いペナルティとなった。
ここ数戦は、多くのペナルティが出されている。
確かに、悪質な違反は罰する必要がある。
しかし現在では、スチュワードは、ストップ&ゴー、ドライブスルー、グリッド降格しか選ぶことができない。
軽微な違反は、サッカーのイエローカードみたいに、執行猶予を与えてあげても、良いのではないだろうか。
現在では、スチュワードの判断が間違っていても、ペナルティを課した後では、取り返しがつかない。
接触することも、このゲームの一部。
邪魔したから、接触したから無条件に、ペナルティではレースの面白さが半減するように思う。
▽不振のホンダとウィリアムズ
ウィリアムズは、マニクール・サーキットでは全く戦闘能力がなく、見せ場を作れず中嶋が15位、 ロズベルグが16位と下位に沈んだ。
ホンダもいいところがなく、バトンはレース序盤でリタイヤ、 バリチェロが14位。
次のシルバーストーンも、空力が重要なサーキットなので、苦戦は必至。
ここしばらくは苦しい戦いが続くだろう。
- F1 Hyper News vol.2 カナダGP
- F1 Hyper News vol.3 2008 Rd.8 France GP
トヨタおめでとうですね。
ホンダ全然駄目ですね。
復活の兆しが無いですね、、、。
コメントありがとうございます。
ホンダの今年は、もう駄目かもしれません。
彼らも、来年用のマシン開発を進めるような発言をしています。
来年に期待しましょう。