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イギリスGP観戦記 Part2 沈む一貴 昇るニコ

▽バリチェロの苦悩は続く バリチェロはまたも勝てなかった。 得意なシルバーストーンで、しかも最大のライバル、バトンが失速しただけに勝ちたかったことだろう。 表彰台での苦渋の表情がそれを物語っている。 バトンはここシルバーストーンで勝ちたかったはずだが、レース前に懸念されたように、イギリスの低い気温が彼の希望を打ち砕いた。 タイヤに優しいブラウンBGP001とバトンのドライビングがここでは不利に働き、バトンは予選からタイヤのウォームアップに苦しんだ。 バトンは攻めた走りをしても、タイヤの暖まりが悪く、苦しいレースとなった。 その為、高速セクションではアンダーステア、低速セクションではオーバーステア。 これでは、バトンをもってしても、為す術がない。 レース終盤にはソフトタイヤを履いて、輝きを見せたが、今シーズンで最も苦しいレースとなった。 レース終盤にソフトタイヤをはいたバトンは、5位のニコを猛追するが、ポイントを考えると、無理ができるわけはなく、そのままのフィニッシュ。 だが、貴重な三ポイントを得ることに成功した。 一時は9位まで順位を落としていたレースを、6位でキッチリとフィニッシュできたことは、チャンピオンシップを考えると、大きな収穫である。 このレースだけを見ると、レッドブルとブラウンGPの戦闘力が入れ替わったように見えるが、今回はあくまでも気温が低いという特殊要因により、こういう結果になったと考えた方がいい。 ▽沈む一貴に、昇るニコ 改良したサスペンションと空力パッケージの大幅アップデートを持ち込んだウィリアムズは、それを活かした中嶋一貴が自分自身最高位の予選5位を得る。 スタートでツゥルーリをかわし4位に上がった一貴は大きなミスはなかったが、終わってみればフィジケラの後ろの11位でフィニッシュ。 またも、今シーズンの初入賞を逃してしまった。 一貴はスタートでツゥルーリをかわし、KERSを使うライコネンをなんとか押さえ込み4位でレースを進める。 しかし、軽い燃料で走っていた一貴は、誰よりも早い15周目にピットイン。 新品のソフトタイヤを使い果たしていた一貴は、ハードタイヤに履き替えて飛び出していく。 重い燃料を積んで、暖まりの悪いハードタイヤを履いた一貴のペースが上がらない間に、ライバル達は軽い燃料とソフトタイヤでタイムを伸ばしていく。 上位陣が最初のピットストップを終わらせると9位に後退し、二度目のストップが終わると11位に沈んでしまった。 一方のニコは、予選では珍しく一貴の後ろになったが、レースでは安定した走りを見せて5位でフィニッシュ。 最後はバトンに追い上げられて、苦しい場面もあったが、ペースアップをして逃げ切りに成功した。 軽い燃料でアタックした事や、予選でソフトタイヤを使い果たしたことなどは、一貴がまだ決勝を見越した戦略をたてる余裕がないという事なのであろう。 何より、ニコも一貴と同じくハード-ハード-ソフトでありながら5位に入賞した事実は、まだまだ一貴が学ばなければならないことが多いことを示している。 ▽ハミルトンの苦しい戦い ダウンフォース不足のマクラーレンにとってシルバーストーンは厳しいレースとなった。 特に高速コーナーでのハミルトンのドライビングは、かなり難しかった。 タイヤのグリップで走ることができる第三セクターでは、オーバーテイクができるのであるが、エアロの性能が重要なチャペルの脱出が大幅なスピード不足であり、ハンガーストレートで簡単に抜かれる事を繰り返していた。 Q1では、最後のアタックで赤旗が出るなど、不運な面もあったが、本人も赤旗がなくてもQ2に進めていたかどうかわからないと、戦闘力のなさを認めていた。 レース後にドーナッツ・ターンを披露したことも、彼のフラストレーションを表している。 ドーナッツ・ターンはFIAから禁止されているし、エンジンやギアボックスに負担をかけるので、良いことはないのであるが、いいレースを見せられなかった地元ファンに対して、感謝の気持ちも表したかったのだろう。 ▽フォース・インディアの躍進 レース序盤にフィジケラがハミルトンを抜いたときには、幻を見ているのかと思ったしまった。 最後は、7位のツゥルーリとの差はわずかに3秒差の10位。 念願のチーム初入賞はまたもお預けとなったが、それに匹敵するレースを見せたフィジケラ。 素晴らしいドライビングだった。 スーティルも予選での、ブレーキトラブルによるクラッシュがなければ、もう少しいいレースが見せられただろう。

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