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2005 F-1 Rd13 ハンガリーGP観戦記

予想外の結果だった。 予選4位のライコネンがこの抜きにくい、いや抜けないハンガロリンクで勝つとは予想できなかった。 もちろんモントーヤのリタイヤという幸運はあったが、ライコネンのドライビングはモントーヤがリタイヤしなくても、優勝しそうなくらい素晴らしかった。 ドイツGPでのリタイヤで、予選出走が一番手だったライコネンは燃料搭載量を極端に少なくしてタイムアタック。 ハンガロリンクは抜けないサーキットとして有名なので、予選順位が絶対的な意味を持ってくる。 スリッピーなハンガロリンクで最初の予選アタックという不利な状況を打開する為に、ライコネンは燃料を極端に少なくしてアタックする方法を選んだ。 その選択は成功し、予選4位で決勝レースを迎える。 ただ予選偶数番手はスリッピーなのでスタートでは不利。 しかしライコネンはそれをはねのけ、スタートでツゥルーリをパスして3位で1コーナーへ突入。 すぐにモントーヤをパスして2位に上がり、ミハエル・シューマッハーを追う。 ミハエル・シューマッハーより速く走れるライコネンだが、ここでは抜けない。 燃料搭載量の少ないライコネンは当然、ミハエルより早く燃料補給の為にピットへ戻る。 4周後、ミハエルもピットイン。 これではさすがのライコネンもシューマッハーを抜くことは出来ない。 シューマッハーはライコネンの鼻先でコースに戻り、トップをキープ。 しかし、この時フェラーリはライコネンの前に出ることを優先させた為に、燃料搭載量を少なくしてしまった。 これが2回目のストップの時に裏目に出た。 1回目はライコネンより4周も遅くピットインしたミハエルが、なんとライコネンより1周早く2回目のピットに向かう。 この1周を全力で駆け抜けたライコネンは2回目の制止時間を短くして、ミハエルの前に出ることに成功。 この後は1周2秒近くミハエルと引き離す驚くべきペースで快走。 ミハエルと置き去りにした。 本来、ミハエルはライコネンが1回目のストップをした後、自分がピットインする4周の間にマシンが軽いのを活かしてライコネンとの差を広げるべきだった。 しかし、ライコネンは燃料搭載量が多くても速く思ったほどギャップを広げることが出来なかった。 その為、ミハエルは1回目の燃料給油を早めに切り上げざるを得なくなり、それが2回目のピットインをライコネンより先に入る原因となってしまった。 これでライコネンはモントーヤに続いて2位。 チームメイトのモントーヤは予選出走順位が遅かったこともあり、2ストップ作戦でのぞんでいた。 この時点でライコネンとモントーヤは共に最後のピットインを残すのみ。 逆転はかなわないかと思われた。 それでもライコネンはモントーヤを追い続け8秒差まで迫る。 このペースだとモントーヤに迫りそうだったときに、トラブルは起こった。 40周目にモントーヤが突然スローダウン。 なんと予選出走順位が1番目で予選4位のライコネンがトップに立つ。 モントーヤがいなくなった後のライコネンは余裕の走りで今季4勝目をマーク。 そしてライコネンの幸運はもう一つあった。 最大のライバル、ルノーのアロンソが得点することが出来なかったのだ。 予選前からルノーはアンダーステアが出ており、不調が伝えられていた。 しかもアロンソは予選アタックを失敗。 最終コーナーでコースアウトしかかり予選6位に沈む。 これが原因となりスタート直後の第一コーナーでラルフにフロントウィングを踏まれ、フロントウィングが脱落し早々のピットインを余儀なくされる。 抜けないサーキットでこの後退は致命的だった。 懸命に追い上げたが11位でフィニッシュ。 これで二人のポイント差は26ポイントに戻った。 アロンソからすれば、まだまだ有利な状況だが、追われる立場はいつでもつらい。 残りは6戦。 ライコネンにはまだまだ運が必要だが、これで多少なりともアロンソにプレッシャーを与えられそうだ。 ▽ミハエル・シューマッハーは復活したのか? 予選で2位を0.9秒引き離したミハエル・シューマッハーが今シーズン初のポールポジション。 ライコネンが最初にアタックし、モントーヤが2ストップで燃料多く搭載し、ルノーが不調でアロンソがミスしたりと、幸運が重なったとはいえ、ポールポジションは見事。 決勝レースでは、ライコネンのペースには全くついて行けなかったが、モントーヤのリタイヤもあり、表彰台へと登った。 今回は予選での速さが出てきたが、これが本調子なのかどうかは次のトルコGPを見てみないと何とも言えない。 今年のフェラーリはレース毎に好不調の波が大きく、どれが本当の実力なのか見極めるのが難しい。 ミハエルのペースはマクラーレンには全く歯が立たなかった。 ただフェラーリは今年のマシンの開発をほぼ終えたようだし、今後は期待薄かもしれない。 マクラーレンとルノーは今後も全力で開発を続けていくだろうから、それにフェラーリが対抗することは難しいだろう。 BARホンダは今シーズン初のダブル入賞を遂げた。 ルノー2台の不調にも助けられたが、琢磨にとってはうれしい今季初入賞。 ペースも上がらず、最後までフィジケラの追い上げを受けながらの走りだったがなんとか逃げ切った。 燃料搭載量が多く予選では8位と10位に沈んだ。 2台とも2ストップ作戦だったこともあり、決勝レースは期待が持てたが、結果的には選択したタイヤがあわずにペースが思ったほど上がらなかった。 そのBARと順位を争ったのがウィリアムズ。 予選では燃料搭載量が多いとはいえ後方に沈んだ。 しかし決勝レースでは最初のスティントを極端に長くする変則2ストップで上位へ進出し、6位と7位でフィニッシュ。 例年、徐々に調子を上げてくるウィリアムズだが、今年は新しいバージョンを投入したフランスGP以降さえないレースが続いてきた。 来年のエンジンやドライバー問題など今年はレース以外での話題が多いウィリアムズ。 ここ4戦ポイントがなかったウィリアムズにとっては復活の兆しとなるか。 今シーズン、ツゥルーリに話題をさらわれ続けていたラルフが移籍後、初表彰台に登った。 ツゥルーリもスタート直後にバリチェロに後ろから衝突され、ダメージを負いペースが上がらなかったが、上位グリッドを活かして4位入賞は見事。 今回のレースは3ストップ組が上位4台、2ストップ組は5位から8位とはっきりと分かれてしまった。 結果的には予選でスピードがあるのならば、燃料搭載量を少なくして予選で上位を狙い、そのまま走りきるのがいい選択だったようだ。 今年は例年のように、遅いクルマに引っかかって隊列をつなぐことも少なかったのも3ストップ組の上位独占につながった。 ▽トルコGPプレビュー さぁ、次は今年初開催になるトルコGP。 何もなければライコネンが勝つと思うが、毎回何かあるのがマクラーレン。 3週間のインターバルの間に信頼性を高めることができるのか?

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