
ここまでトラブルに見舞われながらも進歩してきたホンダのパワーユニットであるが、パワーサーキットであるモントリオールで彼らの弱点をさらけ出した。
彼らの弱点はMGU-Hの回生量が不足していることで間違いない。昨年から100kgの燃料でレース距離約300kmを走りきるためには、MGU-Hでより多くのエネルギーを回収しなければならない。
そしてMGU-Hでより多くエネルギーが回収できれば、それだけ多くのエネルギーを使えるのでストレートスピードも稼げる。
マクラーレン・ホンダがモナコGPで今シーズン初入賞を果たしたことでもわかるように、彼らがこれまで苦しんできたドライバビリティの問題を、ある程度解決できているのは間違いない。
だがパワー面では上位陣に全く太刀打ちができていない。これではドライバーはたまらない。ホンダは100kgの燃料で完走するには10%以上の燃料が足りなかったのではないだろうか。それほどチームからドライバーへの「リフト・アンド・コースト(ブレーキングするより早くアクセルを閉じて燃料消費を抑える走行)」の指示は早い時期から出されていたし、レース中も出され続けていた。
今回、ホンダのトークンを使用して交換した部品はMGU-Hであると推測されている。ホンダは信頼性のために交換したといっているが、信頼性向上であればトークンを使わなくても交換できることから、一定のパフォーマンスアップも含まれていると考えるべきであろう。
だがまだまだホンダはレース中にMGU-Hを全開で回収すると信頼性に不安があるので、100%の能力を使えていないのである。そうでなければこれほどまでに燃費で苦しむことはないであろう。
メルセデスの強さの源がこのMGU-Hにあることは明らかであるが、その本当のメカニズムがわからない。だがフェラーリが表彰台をコンスタントに獲得していることからも、やり方次第ではホンダも競争力をつけることが可能である。
問題はそれがいつなのかである。今シーズンのマクラーレン・ホンダは他と競争できるレベルにない。結果云々の前にそのレベルに持っていくことが先決である。