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勝ちを逃したウィリアムズ

勝てるレースを落としたウィリアムズ。少なくとも勝てる可能性はあった。だが彼らは保守的な作戦を選択して、表彰台すらも逃してしまった。 最初の選択ミスは、レース序盤にボッタスをマッサの前に出さなかったことだ。明らかにボッタスはマッサよりも速かった。だからここでボッタスが前に出ていれば、ボッタスはメルセデスに対して5秒程度のマージンは作れた。 そうすればボッタスはハミルトンが先にタイヤ交換を仕掛けた1周後にタイヤ交換しても、アンダーカットされることはなかった。もちろんウィリアムズが伝統的にチーム・オーダーを嫌っているのは、理解している。 だがかつての最強だった頃とは時代が違う。昔はウィリアムズが圧倒的に強かったので、チームオーダーがあってもなくても、勝つのはウィリアムズのどちらかのドライバーであり、チームオーダーの意義は小さかった。 だが今は違う。最強のチームはメルセデスであり、ウィリアムズは追う立場。しかもメルセデスとの差は大きい。そう考えると勝つためには、勝つための作戦をとらなければならない。それは今回、ボッタスを前にいかせることだった。 それでも終盤の雨を考えると、ボッタスを前に行かせても勝てたかどうかはわからない。彼らのタイヤ交換は非常に保守的で、1ストップ作戦で第2スティントのタイヤが最後まで持つかどうか心配だったので、ハミルトンのタイヤ交換に対応することができなかった。 シルバーストーンは前のマシンをオーバーテイクすることが非常に難しいので、ウィリアムズであっても前を走っている限り、メルセデスに抜かれることはなかった。 例え最後までタイヤが持たない可能性があっても、先にタイヤ交換するしか勝つ方法はなかった。それで勝てなくてもマッサは表彰台の可能性があった。 これと同様のケースは昨年のオーストリアGPでもあった。彼らはレースをリードしていたにも関わらず、後からタイヤ交換をしてメルセデスを前に行かせた。この時もタイヤが最後まで持たない可能性があったので、保守的な選択をしたのだ。 だがメルセデスを相手の勝つためには、多少のギャンブルは必要である。それにトップに立っていればペースを落とすことも可能なので、タイヤを労ることもできる。タイヤ的には後ろを走っている方が圧倒的に不利である。 そう考えるとウィリアムズは勝ちに行くよりも、確実に表彰台を狙っていたことがわかる。一度メルセデスを前に行かせると、それを抜くのはほぼ不可能である。 それにしても、ウィリアムズは惜しいレースを落としてしまったと思う。