
今日はハミルトンの日ではなかった。
雨でほとんど走れなかったフリー走行。途中で打ち切りになった予選。混沌とする状況の中、スタートでトップに立つも、ブレーキのトラブルで首位を維持できなかった。そしてコース上でニコに抜かれた。
それでもハミルトンは勝利した。今日の彼は絶好調というわけではなかった。それでも勝ててしまうところに、彼の最近の成長が見て取れる。
彼としてはチャンピオンシップ争いを大きくリードしているわけだから、無理をする必要はまったくない。それでも昔の彼は、強引にトップ争いをして順位を落とすこともあった。
だが今の彼にはそういう危ういところが見られない。マシンをコントロールさせれば右に出るものがいないほどの能力を彼は持つ。その彼がリスクをコントロールできるようになれば、怖いものはない。
F1のトップドライバーならばマシンの調子が良い時に勝つのは当たり前である。調子が良くない時にどうするかが、優勝できるドライバーとチャンピオンになれるドライバーの乗り越えられない大きな壁である。
その壁を乗り切ったルイスには4回目5回目のチャンピオンも見えている。ただ今の彼はロズベルグを全く恐れていない。問題は彼を脅かすほどのドライバーとチャンピオンを争った時である。その時は今のレベルより、先に進んでいかなければチャンピオンの獲得は難しくなる。
成長を続けるルイスを見るためにも、来年は厳しく激しいチャンピオン争いを見たい。