フェラーリの失速は開発の失敗が原因
2013年シーズン途中からのフェラーリの失速は、開発の失敗であると技術チーフのパット・フライは認めた。
フェラーリが2013年のシーズン途中で失速したのは、巷で言われているように風洞施設の調整の失敗ではなく、カナダGPに投入したアップグレードの効果がなかったためであると、フェラーリのパット・フライが述べた。
「風洞施設の調整問題が原因であるという人がいるが、そうは思わない。冬期の開発はうまくいっていたし、その後の開発もよかった」「最初のアップグレードは予想よりも効果があった」
「実際問題、カナダに新しいトップボディを持ち込んだらうまくいかなくて、理解するのが難しい問題が発生した」
「どこで開発がおかしくなったのかと言われれば、それはカナダGPあたりになる」
「開発していて、もし予測と同じ効果がでなければ、どうする?だって風洞モデルはもう何週間も先を進んでいる」
「元に戻そうとすると、また別の問題を引き起こす」
つまりパット・フライが言いたいのは、開発していたパーツがうまくいかないと、その時点で先に進んでいる空力の開発モデル自体の有効性が疑われ、投入したアップグレードが開発されていた時点、つまりレースの1ヶ月以上前の時点まで戻らざるを得ない。そこから開発をし直すのであるから、他のチームに対して1ヶ月から2ヶ月分のハンディキャップを持つことになる。開発スピードが光速で進化するF1において、このロスは永遠とも思える長さである。フライの発言を聞くと、その時点での彼の失望の大きさがうかがわれる。
またフライはシーズン前半、偶然にもピレリタイヤがフェラーリに有利は働いていたので、シーズン途中のピレリのタイヤ構造の変更はフェラーリの問題になったと認めた。
当初のオーバーヒートしやすいタイヤ構造はフェラーリにあっていて、変更後のタイヤではタイヤを温めるのに苦労した。
「デザインとかシミュレーションとかの問題ではなく、タイヤの変更だった。タイヤが変更になってからフェラーリは後退した」
「でも与えられてもので、マシンでうまく動作させるのは我々である」
この発言を聞くと、パット・フライはフェラーリがうまくいかなかったのは、風洞のせいでもタイヤのせいでもなく、自分たちが開発を失敗したからであり、タイヤの変更はそれをさらに悪化させただけであると、認識している。これを聞く限り来年のフェラーリには期待が持てる。自分たちの失敗を他人のせいにしている組織に進歩はない。
だがその同じ組織の中にこういう人もいるわけで、フェラーリの立て直しは一筋縄ではいかない難しさがある。シューマッハーがフェラーリを復活させた時は、上層部を外人部隊で固めて、組織を変えていった。だがその彼らが去るとフェラーリは元の姿に戻りつつあるようだ。
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