FIAが募集していた2015年からの新しいエントリーへ3件の申し込みあった。さて彼らはF1に参戦できるのであろうか?
その3チームとは、アメリカのジーン・ハース・レーシング、F1の元チーム代表コリン・コレスのチーム、そしてセルビアのF1プロジェクト、ステファンGPである。
この中で日本人に一番なじみがあるのは最後のステファンGPであろう。彼らは2009年を最後に撤退するトヨタのマシンや施設を引き継ぎ2010年からのF1参戦を目指していたが、彼らの組織にはほとんど実態がなく、当然資金も用意できずに、参戦は実現しなかった。その為、今回も彼らへ参戦のライセンスを授与する可能性は著しく小さい。
ジーン・ハースはアメリカでNASCARチームを運営しており、財政的な基盤もしっかりしている。だがF1では必要な資金がNASCARとは桁違いに大きく、個人的な関心から継続的に参戦するにはハードルが高い。またNASCARとF1では技術レベルも全く違うので、これから新しいF1チームを短期間で立ち上げるのはかなりの困難が予想される。
コリン・コレスはF1ファンの皆さんなら一度くらい聞いたことのある名前であろう。彼は2005年から2009年まで、ミッドランド、スパイカー、フォース・インディア(全て同一チーム)のチーム代表を務めていた。そして、スペインのHRTのチーム代表も2011年に務めた。彼はルーマニアの自動車メーカー「ダチア」の支援を受けていると一部メディアで報道されている。これが事実なら彼へ参戦ライセンスが与えられる可能性は高い。だがこの世界には、思惑だけで情報を流す人がたくさんいるので、この報道を鵜呑みにすることはできない。ただコレスの父は以前、ルーマニアで歯科医として活動したことがあり、ルーマニアとの関係性はある。
FIAが新しいエントリー申し込みを審査するポイントは下記の通りである。
(a)技術的能力およびチームのリソース
(b)競争力のあるレベルでチャンピオンシップ参戦が可能な十分な資金の収集・維持を行う能力
(c)チームの経験と人的資源
(d)候補者がチャンピオンシップ全体にもたらすであろう価値に対するFIAの評価
この中で一番重要視されるのは(b)の資金であろう。技術的な能力に関して言えば、お金さえあれば他のF1チームから優秀な人員をリクルートすることは可能であるし、初年度のマシンをダラーラなどに発注して乗り切ることも可能である。
だがそもそも12月に申し込みの詳細が発表され、書類提出までの時間がほとんどなかったことを考えると、この時点で資金面の確保ができていると考えるのは、あまりにも楽観的である。
またジーン・ハースは世界最大の経済大国であるアメリカからの参戦となり(d)のF1にもたらす価値という面では、魅力的である。
申込者は2月10日までに本格的な申請をし、その後FIAはこの3チームのエントリーに実現性があるかどうか審査をして2月28日に彼らに参戦のライセンスを授与するかどうか決定する。参戦ライセンスが授与されたチームは2015年もしくは2016年からF1に参戦することが可能になる。