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2006 Rd.3 オーストラリアGP観戦記

今回のアロンソはスタート以外はほぼ完璧な勝利。 スタートでこそバトンをかわせなかったが、再スタートで鮮やかにバトンをパス。 その後、三回のセーフティカー導入で、築き上げたリードを失いながらも、危なげない走りで今季2勝目。 ライコネンがタイヤとフロントウィングに多少の問題を抱えていたことを考えても、チャンピオンらしい走りを見せつけてくれた。 開幕三戦で優勝二回、二位一回だからスタートダッシュとしては最高の結果だ。 二位になったレースも、燃料搭載量を間違えたのが原因であり、それさえなければ、三連勝もありえた。 早くも先行逃げ切りの予感がするほど、アロンソ&ルノーの走りには隙がない。 今回の走りには本当に脱帽だ。 今回のGPはタイヤ温度が明暗を分けた。 通常、開幕戦のオーストラリアGPが今年は1ヶ月ほど遅い開催となり、例年より気温が低かった。 それに加えて4度のセーフティカー導入で、タイヤ温度が低くなりなかなか元に戻らないチームが続出した。 ルノーはスタート直後のタイヤ温度の上昇が早い。 マクレーレンはルノーより1周ほど暖まりが遅く、ホンダは3周ほど遅い。 これがそのまま、今回の結果につながった。 ルノーはタイヤ温度の上昇も早いが、かといってタレも早いというわけではない。 タイヤを有効に使っていることの証。 気温の高いサーキットでも、低いサーキットでもどこでもタイヤを最適に使える万能マシンだ。 ▽ホンダの苦戦続く 新しいシステムを使って最初のスタートでアロンソを押さえたバトンにとっては、四回のセーフティカー導入は不運だった。 第一戦、第二戦と同じくホンダはタイヤの温度上昇が鈍く、再スタート後にかわされて、差を付けられてどうしようもなかった。 特に再スタート直後は全然グリップせずに、苦戦した。 最後は最終ラップの最終コーナーで激しくエンジンブローし、バトンは機転を利かせたエンジニアの指示でフィニッシュライン直前でブレーキをかけてマシンを止めた。 そのまま走れば惰性で5位入賞は可能だったが、次のレースでの予選順位降格を嫌い54ポイントを捨てて、止めることをバトンは選んだ。 その前から前兆はあったのだろうが、この判断はお見事。 ただこの判断がよかったかどうかは、次戦の結果次第となる。 バリチェロはまさかの予選第一ピリオド脱落で、決勝でもブレーキに問題を抱えたが、荒れたレースを手堅くまとめ今季初入賞を7位で飾った。 バトンの予選のタイムを見るとトラフィックに引っかかったアロンソと約0.5秒の差があり、燃料搭載量もほぼ同じ量だったので一発のタイムでは遜色ない。 ただホンダはタイヤ温度が上がらないという問題を抱えている。 これを解決しない限り、ホンダがレースで勝つことは難しそうだ。 果たして、ホンダはサスペンションの大幅改良をできるのか? そこが、今後のポイントだ。 ▽マクレーレンも苦戦 ライコネンはバトンを抜く時に、ブレーキをロックし大きなフラットスポットを作ってしまい、タイヤからの振動でペースが上がらない。 さらにその振動からフロントウィングのパーツが脱落し、ひどいアンダーステアに悩まされてアロンソに引き離されてしまった。 最後のピットストップ時にフロントウィングを交換し、その後はアロンソより速いペースで走れたが、アロンソには追いつけず二位でフィニッシュ。 モントーヤはスタート直後はライコネンとやり合ったが、その後はアップダウンの激しいレース。 再スタート後のタイヤ温度上昇に問題を抱え再スタート直後にスピンするなど苦しいレースが続く。 最後は縁石に乗り、スピンした際に安全装置が働きエンジンが止まり万事休す。 最近のモントーヤは今ひとつ乗り切れない。 ▽フェラーリ全滅 フェラーリはマッサがスタート直後に、クリエンと接触しリタイヤ。 ミハエル・シューマッハーもバトンを追いかけている時に、珍しく単独クラッシュしレースを終えた。 それまではかなりいいペースで走れていたので、惜しいレースを失った。 ミハエルはおそらく、バトンの後ろで乱気流に巻き込まれフロントのダウンフォースを急激に失い、マシンコントロールを失ったようだ。 フェラーリもタイヤの温度上昇に遅く、再スタート直後にはタイヤのグリップ不足の問題を抱えていた。 ▽トヨタ初表彰台 開幕の二戦、ホンダと同じくタイヤ温度の上昇に問題を抱えていたトヨタがここでは修正してきた。 ラルフが予選6位スタートで、ピットスルーペナルティを受けたにもかかわらず、今シーズン初の表彰台。 荒れたレースで確実に結果を残した。 ▽佐藤琢磨、大健闘 佐藤琢磨は大健闘の走りを見せた。 一時はバリチェロの前を走り、12位を快走。 バリチェロがブレーキに問題を抱えていたことを考えても、素晴らしい。 まだまだ、問題は多いが二台とも完走し、着実にステップを登っている。 予選でのタイム差は大きいが、レースタイムは結構いいペースで走れてきた。 次がまた楽しみになった。 今回のMIDはアロンソだろう。 本当は琢磨に上げたいところだが、アロンソの走りはあまりにも素晴らしかった。 次は3週間後のサンマリノGP。 そこまでルノー以外のチームがどこまで開発してくるか? このままいけば今年もルノーが独走しそうだ。

2 thoughts on “2006 Rd.3 オーストラリアGP観戦記

  1. 疾風のごとく...

    クラッシュ・ラッシュ ~F1 オーストラリア

    近年はここで開幕することが慣例だったF1-GP。
    今年は他のイベントとのブッキングを避けるために開催時期をずらし、第3戦としての開催です。
      
    オーストラリアGPのレビューを沖縄からお届け。

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