ペナルティをうけたロズベルグの幸運
ロズベルグはハミルトンとのポイント差をかろうじて4ポイント差にとどめたように見えた。
だがロズベルグはレース中にチームから受けた無線内容がレギュレーション違反とみなされ10秒加算のベナルティを受け、彼の最終順位は3位に沈んだ。
これによりロズベルグは3ポイントを失い、最大43ポイントあったは2人の差はたったの1ポイントになってしまった。
これはもはや同点に追いついたといってもいいだろう。完全に追い詰められたロズベルグだが、なぜ彼はベナルティを受けたのだろうか。
まず大前提として今年の無線内容は緊急事態と安全面以外は大幅な制限が加えられた。もっとも開幕前にはタイヤ交換時期も含めて全面禁止が検討されていたのでそれから考えると、緩和はされている。詳しくは下記の関連記事をご覧いただきたい。
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ではロズベルグの何がベナルティ対象なのか?
実はテレビでオンエアされたロズベルグへのメッセージ以外にも、チームは無線で指示していた。
チームは最初は7速に問題があるので、それを飛ばしてシフトチェンジするように指示した。だが今のF1は飛ばしてギアチェンジできないので、ロズベルグが方法を問うと、7速に入れた瞬間にパドルを引いてギアシフトするように言われた。ここまでがオンエアされた内容である。
その後、メルセデスはロズベルグにモードの変更を指示してギアボックスの問題を解決しようとした。ここまでくればもはや確信犯である。
メルセデスはギアボックストラブルが悪化してロズベルグがリタイアする位なら、ベナルティを受けても、指示した方が獲得できるポイントが多いと判断したのだろう。
実は無線内容の制限違反をとられたのはこれが初めてである。これで無線内容制限に違反した場合、10秒加算のベナルティを受けることが明確になった。
これ以降、各チームはドライバーに指示をして10秒加算された方が得か損かを計算して意図的に違反するチームが出てくるだろう。
例えばトラブルでラップ当たり1秒遅くなったとしよう。残り30周あれば、無線制限の違反をしてもトラブルが直れば1周当たり1秒早くなるので、レース全体とすれば30秒も速くフィニッシュする。これでは違反するなという方が無理である。
それもあってレッドブルのクリスチャン ホーナーはロズベルグを失格させるべきだと述べている。理由はギアボックストラブルが悪化したらリタイアする可能性があり、それに比べて10秒加算のベナルティは軽すぎると考えているからである。
だから私はロズベルグは10秒加算のベナルティを受けてラッキーだったと思っている。チームからのメッセージがなければロズベルグはリタイアしていた可能性もあり、その場合ノーポイントに終わる。
それが10秒加算で順位をひとつ落とし3ポイント失っただけで、まだハミルトンに対してたったの1ポイントだけだが、まだリードしているのである。
もしロズベルグがリタイアしていたら、ハミルトンに逆転されていた。
だからのこのルールの運用については、FIAはさらに厳格な線引きをさぜるを得ないだろう。
- ハミルトンとロズベルグとの差
- ノーポイントも落胆なし マクラーレン ホンダ