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突然の速さを見せたマクラーレン・ホンダ メキシコGP観戦記

苦手なはずのメキシコGPで速さを見せたマクラーレンホンダ。アロンソは金曜日FP1で8位、FP2で7位。これはまだ金曜日とはいえ期待の持てる順位である。しかし土曜日はさらに驚きを見せてくれる。
 
予選Q1では5位。しかもセクター2は全体ベストである。トップのハミルトンとの差はたったの0.19秒。上位陣がQ1で本気を出していないとはいえ、すばらしいスピードである。ペナルティーが決まっていたのでQ2は走らなかったが、このタイムはQ2でも7位であり、上位3チーム以外ではトップのタイムということになる。
 
ただホンダが新しいスペックのパワーユニットを投入したわけではない。ではどうして突然マクラーレンホンダは速くなったのか。
 
メキシコGPは2000メートルを超える高地で開催される。2割くらい平地より空気が薄い計算である。ということはその分エンジンのパワーも落ちる。だからターボにより多くの仕事をさせ多くの空気を送り込む必要があるのだが、ホンダはそこに大きな弱点を抱えていた。ターボの回転数が想定以上に上がりすぎ耐久性に不安があった。ターボの回転数に制限がかかれば、当然MGU-Hの発電量も大きくできない。
 
頭を抱えていたホンダだったが回転数を上げられないターボに代わって、エンジンとMGU-Hの組み合わせでカバーできないかをHRD sakuraで考えてメキシコの木曜日にギリギリ間に合ったのである。
 
それでもメルセデスやフェラーリに比べると能力が落ちるのは仕方がないが、ルノーにはパフォーマンス的に優っていたように思える。特に優勝したフェルスタッペン以外は全滅だったルノーに比べ信頼性はホンダが優っていた。
 
しかもレース終盤にアロンソはハミルトンと互角の勝負を演じて見せた。最終的に抜かれたにせよ、マクラーレンホンダの能力向上を印象付けたのは間違いない。
 
苦手なメキシコGPでペナルティーを受けて、新しいパワーユニットをキープしようとしたのだが、結果から見ればしなくても良かったかもしれない。アロンソ18位、バンドーン19位スタートだったがアロンソはなんと10位入賞。バンドーンはピットインした時にタイヤが用意されてなくてタイムロスするも12位でフィニッシュした。もしペナルティーがなくトップ10からスタートしていたらと考えるととても惜しいレースだった。
 
もちろんここで、たらればを言っても仕方ないのであるが、苦手なメキシコGPでここまでの速さを見せたので、残りの2レースが楽しみである。