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2014 Rd.1 オーストラリアGP観戦記1 それでもレッドブルは戦った

ベッテルはエンジントラブルでリタイヤ、リカルドは2位になりながらも失格。彼らのオーストラリアGPは良くなかったと言われるレッドブルであるが、そんなことは全くない。彼らのパフォーマンスは望みうる最高のもので、感嘆せざるを得なかった。これで彼らは上を向いてマレーシアに行ける。   もし開幕前にレッドブルが開幕戦で表彰台に登ると予想していたら、それは全知全能の神か愚か者のどちらかだったであろう。ところが事実は小説よりも奇なり。リカルドは(失格になったが)表彰台に登った。 そもそもレッドブルが開幕戦で完走すると予想する人間もほどんどいなかった。それほど彼らはプレシーズンテストで苦しんでいた。これまで彼らはレーシングスピードで走れたことがほとんどなかった。それでも彼らは最後のテストが終わってから、ハードワークをこなし宿題を片付けてきた。 もちろん宿題の数は減るばかりか、増える一方であるのだが、それでも今週末にレッドブルが見せた仕事ぶりには敬意を表すほかはない。彼らの進歩には驚きを覚えざるを得ない。 これこそが我々が過去4年間見てきたレッドブルである。アンチレッドブルファンには残念なことだが、この驚異的な進歩により、彼らは今年も戦えることを証明した。 だがやるべき開発は多い。リカルドが失格になった理由は燃料流量の上限を上回っていたからであり、これにより彼らはメルセデスに比べて50馬力ほど、タイムにして0.5秒ほどのアドバンテージを得ていたと見られる。それがなくてもメルセデスとは1秒の差があったので、燃料流量を下げれば更に差が開くことは間違いがない。 関連記事:リカルド失格の真相 リカルド個人に失格の責任はまったくない。パワー的なアドバンテージがあったことは間違いないが、それでも彼がミスなくマシンを表彰台に導いたことは、評価できる。必要な時に必要なポジションにいて結果を出せるのが、優れたドライバーの特徴である。彼は一流ドライバーへの道を一歩踏み出した。 次はベッテルが調子を取り戻した時に、彼がどう挑戦するかで彼の評価は下される。 ベッテルはドライバビリティに問題を抱えていた。ドライバビリティとはドライバーがアクセルを踏んだ時に欲しいトルクを欲しい分だけ供給することで、同様にアクセルを緩めれば必要な分だけトルクが減らなければならない。簡単そうに見えるがこれが意外と難しい。 昨年までは普通のエンジンとKERSだけだったので、問題はシンプルだった。アクセルを開ければその分のトルクが得られたし、離せばトルクは減った。KERSが使えるところではボタンを押すだけで、非常にシンプルな機構であった。だが今年はMGU-KとMGU-Hとエンジンから出力されるパワーをドライバーがアクセルを開けた時に、適切なタイミングと量を組み合わせて供給しなければならない。これはとても複雑で、問題の解決は容易ではない。 プレシーズンテストでは走って信頼性を確保するのに精一杯だったレッドブルは、マシンのセッティングまでは手が回っていない。その為、まだまだレッドブルは本調子からはほど遠い。だがそれでも2位になれたことは、彼らとファンを勇気づけ、アンチベッテル、アンチレッドブルファンを落胆させる。 まだこの時点でベッテルの5連覇という景気のいい話はできないが、少なくとも彼らが今年も戦えることは、F1にとっていいことである。最終戦はポイント二倍でもあることだし、これで長いシーズンを楽しめそうである。 きっとバーニーは今頃、最終戦をポイント二倍にしたことを後悔しているに違いない。

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