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ベッテル ポール、フェラーリ フロントロウ独占 日本GP予選

ベッテルが渾身の走りで、ルクレールの連続ポールポジションを阻止した。

金曜日はメルセデスに先行されて、レッドブルにも負けていたフェラーリだが、土曜日の休みの間にエンジニアはいい仕事をしたということになる。イニシャルのセッティングが今ひとつだったフェラーリだが、土曜日の間にシミュレーター等を利用し、問題を突き止め解決した。

今のマシンのポテンシャルを考えると、普通に走ればフェラーリが負けるわけはないので、普通の走りができるようにすれば、それで問題はなかった。

それにしてもベッテルの走りは見事だった。二回ともルクレールより後にアタックするという好条件はあったが、それだけでポールが取れるほどあまくはない。

ご存じの通り台風19号の影響で土曜日の走行が全てキャンセルになり、路面のラバーがきれいに洗い流され、しかも強風で運ばれ来た埃がうっすらとコース上に残る状態での予選だったので、ラバーがのる後半の方が条件は良かった。

ただそれでもルクレールはQ3、2回目のアタックでタイム更新できなかったのに、ベッテルは2回目も自己タイムを更新し、鈴鹿サーキットのコースレコードをマークした。

鈴鹿サーキットは誰もが認める難コースだが、攻めがいのあるサーキットでもある。だが攻めれば攻めるほどミスを誘発する魔のサーキットでもある。本来ポールポジションをたくさんとってもおかしくないハミルトンがたったの一回しかポールを取ったことがないという不思議なサーキットでもある。実際、ほとんどのサーキットでボッタスに予選で勝っているハミルトンが今回はボッタスの後ろの4位である。

つまり攻めるタイプのドライバーには、非常に難しいサーキットである。ルクレールは予選終了後、何回かミスをしたと述べている。これは彼が攻めてタイムを刻もうとしたからであろう。一方、ベッテルはこの鈴鹿を何回も走っており、どこは攻めても良いが、ここは危険だということを熟知している。

実際、普通に見れば危険でないデグナーやスプーンで飛び出したりするのも、F1の特徴であるのは、そういうサーキットの特性が関係している。だからベッテルは攻める部分と、リスクを冒さない部分をキッチリを判断して、見事にポールポジションを獲得した。

正直、フェラーリとメルセデスの間には、ドライバーの腕では埋めることのできない性能差がある。ハミルトンもその部分は認めていて、白旗を揚げている。だがメルセデスが決勝レースを諦めているわけはなく、ロシアGPの時のように、セーフティカーが登場するタイミングを見て、積極的に仕掛けてくるだろう。

ポイントとなるのはタイヤとセーフティカーになる。金曜日しか走行できていないし、金曜日と日曜日はかなりコンディションが異なる。だから1ストップレースと予想されるが、どこまでスタートタイヤのソフトが持つかは、正確なところわからない。だからレース序盤でセーフティカーが登場すれば、メルセデスは早めにピットインして、ハードに交換し最後まで走るとか、最初のタイヤ交換を延ばして、ロシアGP同様セーフティカーを期待した作戦になるかもしれない。

マシンの性能差があってもメルセデスが諦めることはないので、そこに注目である。

▽後れを取るレッドブル・ホンダ

フェルスタッペンとアルボンは全くの同タイムで5位と6位。これはアルボンが健闘したと言っていいだろう。だがホンダ人気で満員の鈴鹿サーキットではあるが、レッドブル・ホンダとフェラーリ、メルセデスにはマシンの性能差がある。鈴鹿は真のドライバーズ・サーキットではあるが、マシンの性能差がはっきりとでるコースでもある。

だから決勝レースでは、表彰台に上がれれば大成功ということになるだろう。優勝争いをするのは、レースがよほど荒れないと無理だろう。そして決勝レースは昨日とは、全く違い晴天の元おこなわれる。