オープニングラップで二台が接触してリタイヤしたフェラーリの二台。しかしそのまま走り続けても、それほど大差はなかったような感じです。開幕戦は荒れた展開を味方につけてルクレールが2位になれましたが、この週末のフェラーリはまったくいいところがなかった。とにかくストレートが遅い。コーナーも遅い。これでドライバーはどう戦えというのでしょうか。
全体で1秒メルセデスより遅いフェラーリ。1分少ししかラップタイムがないのに1秒も遅いとはかなり深刻な状況です。コーナー部分で0.3秒遅いのも問題ですが、ストレート部分で0.7秒も遅いとドライバーは為す術がありません。これは他のフェラーリ製PU搭載チームも共通の現象なので、彼らのPUに大きな問題があるのは間違いありません。
フェラーリは昨年のUSGPでPUの規則違反の疑いを持たれて、PUに変更を加えています。その後フェラーリのストレートスピードは激減しています。それまでは超絶ストレートが速かったのですから、疑惑を持たれてもおかしくありません。噂では燃料流量計をごまかして一時的に上限を超えて燃料を使用していたのではないかと言われています。だから特に予選の速さが際立っていました。
そしてフェラーリは昨年型のPUを元に今年のPUを設計していたのは間違いないでしょう。それが11月の時点で使えなくなり、そのまま修正ができずに今年のPUを開発したと思われます。昨年のパワーのあるPUを元にして今年のPUを開発したので、昨年のテクを使用できなくなったら、実力が露わになったということでしょう。
しかもフェラーリの空力のコンセプトは昨年と同じように見えます。つまりダウンフォースが少ないのです。それでも昨年は抵抗も少なかったから良かったのですが、今年は抵抗も大きいようです。原因の一部はラジエターを二枚に分けて搭載しているからではないかと言われています。メルセデスやホンダは冷却システムの一部をドライバーの後ろに搭載して、ラジエターは一枚にしてサイドポンツーンに搭載してます。これでフェラーリはサイドポッドの内部抵抗も大きくなるわ、後方に排出する空気の流れも遅くなるはで、空力的には大きなマイナスを抱えています。
今のフェラーリは、パワーはないは、ダウンフォースも少ないは、抵抗は大きいでは、どんなに優れたドライバーが乗っても太刀打ちできません。
このマシンで来年も戦うわけですからフェラーリも頭が痛いでしょう。フェラーリはこの第二戦に前倒ししてアップデートパーツを持ち込みましたが、効果は限定的だったようです。二人ともバランスが悪いとはいっていないのですが、遅くてバランスのいいレーシングマシンは手の施しようがありません。まだレッドブルのように速いけどバランスが悪いなら修正のしようはありますが、ほんとフェラーリは先が見えない状態です。
昨年までのフェラーリは低速サーキットでは速かったので、次のハンガリーGPでなんとかしないと、久しぶりの0勝シーズンになりそうな予感です。