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新チーム参戦決定 ハースレーシングの可能性

F1に新しいチームが参戦することが決定した。アメリカのジーン・ハースである。彼らのチームはF1で成功を収められるのであろうか? 彼らは2015年か2016年にF1に参戦することが許可された。だがこれまでも多くのチームが参戦しては撤退していった。彼らのチームはどうなのであろうか。 まず彼らは可能な限り外部の力を借りることを表明している。シャシーはダララから調達しようとしている。これは最初からカーボンファイバー製のシャシーを作るのは技術的に難しく、また今からでは2015年には間に合わない。これはとても合理的な判断である。だがダララにしても今からF1のシャシーを2015年に間に合わせるのはかなり挑戦的な目標である。 現存するF1チームでも夏には翌年の基本仕様を確定し、製作に入る。今はまだ4月だが契約はないし、仕様のかけらも存在しない。 またパーツに関しても外部から調達して資金をコントロールしようとしているようである。だがこれは競争力を考えると難しい。どうしてF1チームがお金はかかるが、ほとんどのパーツを内製にしているかというと時間が欲しいからである。 例えば装着すれば0.1秒速くなるパーツがあるとしよう。これを外部に注文すると1ヶ月かかるとする。チーム内で作れば1週間。チーム内で作れば1ヶ月間で約4種類のパーツを作成できる。だが外注すると1ヶ月で一個である。これは極端な例ではあるがF1の本質を表している。どんなに優れたパーツでもレース終了後に届いても意味はない。例えば新しいパーツで1周0.2秒速くなると、レースが50周と仮定すると10秒も速くフィニッシュできる。タイムだけで言うとこれだけ二つや三つポジションが改善できる。 F1において時間は全てにおいて優先される。マクラーレンなどはその為だけに高価な工作機械や塗装マシンを設置し、パーツのデリバリータイムを短縮しようとしている。F1の場合、優れたパーツを投入することは重要であるが、より早く投入することも同じくらい重要なのである。 予算をコントロールすることはチーム運営では非常に重要である。だがF1で勝つためにはある程度の資金を確保しないと、戦うことすらできない。それがF1の現実である。F1でチャンピオン争いができるのは、資金面で問題のない3チームだけである。 この少数のチームだけが優勝争いをするというのは、ヨーロッパのスポーツでは普通である。アメリカの場合は条件をできるだけ平等に設定し、チーム間の競争が激しくなるようにして、スポーツ全体が盛り上がるように運営する。もちろんF1はヨーロッパ型であり、ハースはその部分を理解しないとF1で成功するのは難しい。ヨーロッパとアメリカでは成功へのルートが違うからである。 また彼らはアメリカを本拠地として活動することを選択するようだが、これも人材のリクルートという面では難しくなる。ほとんどのF1チームはイギリスに本拠を構え、ほとんどの人間はイギリス人である。独身ならまだしも、家族がいるとアメリカに転職するのはなかなか難しい。しかもハースレーシングが本拠地を置く、ノースキャロライナのカナポリスの場所を知っているイギリス人はほとんどいない。またフェラーリくらいの資金力とブランドがあれば、イギリス国外でも移籍は可能であるが、ハースにはその両方もない。 イギリスに本拠があれば、風洞施設を借りるのも容易である。今年から風洞施設の利用時間がかなり制限されたので、風洞を貸すことは経済面からみても合理性がある。もちろんアメリカにも風洞はあるのだが、国土の広いアメリカで移動する手間暇は想像以上の困難である。 とはいえ彼らはF1に挑戦することを選択した。彼らもこの挑戦が困難である事は理解しているだろう。困難だからこそ挑戦したとも言える。 最初から成功したF1チームはいない。今は成功しているレッドブルもかつては弱小チームだった過去もある。だからハースが成功しないとはいわない。だが彼らの道のりには多くの困難が待ち受けている。その困難を乗り越え成長していく、そのプロセスこそが重要なのである。結果を求めるのはその後である。 今後もアメリカからの新チームを興味深く見守っていきたい。

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