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ベッテル 苦戦の真相 2

20140312_842333_t ベッテルは今年になって、ダウンシフト時の安定性に苦労している。レッドブルのアドバイザーであるヘルムート・マルコは「シフトダウン時、セバスチャンは特別なドライビング・スタイルの為に、リアが安定している必要がある。新しいシステムでは、まだそうなっていない」と語っている。 昨年までのレッドブルはエキゾーストブローを積極的に使用して、大きなダウンフォースを生み出していた。そしてこれは、ブレーキング時に大きな威力を発揮していた。通常、ブレーキングしてシフトダウンすると過重が前に移動して、リアのグリップが少なくなる。 だがレッドブルは通常、ブレーキング時にアクセルを閉じて排気ガスがでない状況でも、排気ガスを出すセッティングにして、ダウンフォースを発生させて、リアを安定させていた。ベッテルはこのスタイルに適応することができて、速く走ることができた。 チームメイトのウェバーはこのスタイルに適応することができずに、勝てなくなってしまった。 今年はターボをつけたり、エキゾーストの出口をマシンの中心部に移動したりしたので、このエキゾーストブローが使えなくなった。ターボは排気ガスのエネルギーを減退させるし、エキゾースト出口が制限されていては、エキゾーストブローを使えない。 今年のレッドブルはこのエキゾーストブローが使用できなくなったために、リアの安定性を欠いている。その為、ベッテルは苦戦している。リカルドはあまりエキゾーストブローを活用できていなかった、トロロッソから移籍してきたので、違和感なく乗れていて、それが好結果になっている。 もちろん今年のマシンはエンジンも代わり、ブレーキバイワイヤーも導入されていて、減速時のマシン制御が難しくなっていて、それもまたベッテルの苦境を加速している。 問題はブレーキバイワイヤーの制御はシーズンが進んでいけば、改良されてくるだろう。だがエキゾーストブローは使えない。そういう状況でどうベッテルが対応できるかが、注目される。 ドライバビリティがあわないと全く攻められないドライバーもいるし、多少合わなくてもドライバー側で合わせてしまうドライバーもいる。もちろん後者の方がドライビングの幅が広いわけで、年間通じると多くのポイントを獲得できる。後者の最も優れた例がフェルナンド・アロンソである。 これまでベッテルは自分の感覚にあう最速のマシンをドライビングしてきた。そして今年、自分の感覚にも合わないし、最速でもないマシンに乗っている。この状況で彼がどういう対応をするのだろうか。 この状況をベッテルが乗り越えられれば、彼はまた一段高い領域に登ることができる。試練は人を成長させてくれるのである。

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