金曜日午前中のフリー走行の廃止を検討
一度は同意していたコスト削減の廃案に伴い、別のコスト削減方法を検討しているF1チームは金曜日午前中のフリー走行の廃止を考えている。
また現行のパルクフェルメ規定を拡大することも考えられている。パルクフェルメ規定とは予選走行開始後、許されたわずかな領域を除き、マシンのパーツ変更やセットアップの変更が許されないルールである。
これを予選開始後ではなく、金曜日のフリー走行終了後に拡張することが検討されている。もし来年から金曜日の午後にしかフリー走行が開催されないとすると、その終了後にはマシンの変更が許されなくなる。
これは大きなチームがギリギリまで開発を続け、予選開始直前にパーツを手荷物扱いで持ち込むことを禁止するためでもある。
だが少し考えればわかるが、金曜日の午前中だけフリー走行を禁止しても、大きなコスト削減にはならない。なぜならこれでは帯同するメンバーの数が変わらないからである。午後のフリー走行も禁止すれば、トラックに到着する日程を一日遅らせることができるので、多少のコスト削減にはなる。
パルクフェルメ規定を半日前倒ししても、大きなコスト削減にはつながらない。これらは予算削減の廃案に激怒する中小チームの怒りをなだめるために出したアイディアとしか思えない。
そもそも現在、F1チームが各サーキットに連れて行く人数は80名ほどで、これは80年代や90年代の数倍の規模である。例えば1960年代後半のティレルはわずか10名しかレースに行かなかったし、1990年代後半のスチュワートGPでも40名程度である。ここに手をつけなければ、コスト削減にはつながらない。また工場に勤めている人数も大きなチームでは500人を超えており、根本的なリストラをしなければコスト削減は実効性を持たない。
1987年のロータスのレース帯同メンバーの記念撮影。今と比べると人数が少ない。
これが今年のメルセデス優勝の記念撮影。メンバー数が大きく違うのが一目瞭然である。
だが当然金持ちチームはリストラをする必要がないので、そのような案には興味がない。
これはどこかの国の政治と同じで金持ちと一般市民の興味の対象が大きく違い、それを統一するには素晴らしいビジョンと実行力を持った優れた政治家の登場が必要であるという点では同じである。
だが社会で優れた政治家が貴重な存在であるのと同じく、モータースポーツの世界でも優れたリーダーは希である。
それを考えると、興味の対象が違うチーム同士がコスト削減案で同意することは、難しい。
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