フェルナンド・アロンソの移籍が実現するかもしれない。
今シーズンからマクレーレンに移籍したこのダブル・チャンピオンは、待遇に不満であることを理由にチームを離れようとしている。
そして、最後までアロンソを擁護していたロン・デニスもスパイ疑惑の証拠を巡るアロンソとのやりとりの中で、ついに修復の関係を諦めたようだ。
アロンソの契約内容には、マクレーレンのコンストラクターズ順位が一定以下の場合、契約を解除できる項目が入っていると言われている。
そして、マクレーレンはスパイ疑惑による制裁で2007年シーズンのポイント剥奪によりコンストラクターズ最下位が決定している。
両者の代理人は、条件を巡って交渉している模様である。
では、アロンソはどこへ行くのであろうか。
選択肢は二つある。
ルノーとフェラーリだ。
フェラーリ!?と驚く方も多いだろう。
来年のフェラーリはマッサとライコネンで決まりと思われている。
たが、マッサはトヨタと交渉中であると伝えられている。
マッサにとってこの移籍が実現すれば収入的に恵まれることになるが、これで彼のキャリアが終わりに向かうことになるのは間違いないだろう。
マッサはワールド・チャンピオンを目指すことを諦めるのだろうか。
それにしてもこれが事実なら、F1の世界は恐ろしい。
今年、三勝をあげてシーズン前半チームを引っ張ったマッサを放出するというのは、我々日本人の感覚からすると考えられない。
これには、マッサのマネージャーがジャン・トッドの息子であることが関係している。
ジャン・トッドはロス・ブラウンの復帰するポジションを巡り社長のモンテツェモーロと対立している。
昨年のライコネンの契約とミハエル・シューマッハーの引退の時も同じ様な対立が起きている。
ジャン・トッドがこの権力争いに敗れるとマッサのポジションは悪化する。
その為、次善の策としてマッサは次のシートを模索しているのだろう。
では、もう一つのルノーはどうだろう。
こちらは、アロンソの復帰を大歓迎するだろう。
来シーズンのドライバー候補として名前の挙がっている、ピケJr.とフィジケラ以外は。
このあおりを受けて、ルノーはイタリアGPで予定していた、2008年のドライバーズ・ラインアップの発表を延期し続けている。
ルノーにとって、アロンソのカムバックはチーム復活の起爆剤になるだけに、万難を排して迎え入れたいところだろう。
ただ、アロンソの加入に多額の移籍金が発生するとなると、ルノーは不利になる。
フェラーリのスポンサーであるマルボロの方が、こう言うときは気前が良いはずだ。
では、アロンソが抜けた場合のマクレーレンには誰が来るのだろうか。
噂ではニコ・ロズベルグかバトン(!)と言われている。
二人とも速いドライバーであるが、バトンはウィリアムズとの契約を破棄する際にホンダに世話になった経緯があるだけにどうだろう。
もっともF1の世界は何で有りの魔界であるだけに、バトンの移籍の可能性はゼロとは言えない。
マッサがトヨタに加入するのであれば、トヨタはウィリアムズに資金を提供して、ニコがマクレーレン入りする可能性もある。
それにしても、F1とは理解不能な世界である。