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可夢偉はどうなる?ケータハムの未来

14504214438_a1f5f68a15_o ケータハムが来週末に開催されるアメリカGPへ参加できない可能性が大きくなってきた。 事の発端はケータハム・スポーツという会社が破産申請したことである。このケータハム・スポーツはF1マシンの開発・設計をして、F1チームのケータハムに提供している会社である。ワン・マレーシア・レーシングチームという名前の企業がケータハムF1チームを運営している。マシンを開発・設計している会社とチームを運営している会社が別である事が、この問題をわかりにくくしているので、ここは抑えておきたい。 今回、このF1マシンを設計・開発しているケータハム・スポーツに対して債権者であるマレーシア輸出入銀行が法的措置に出た。つまりマレーシア輸出入銀行はケータハム・スポーツにお金を貸していたが、返済されないので、差し押さえてして、売れるものは売り、少しでもお金を回収しようとしている。 当初、ケータハムF1チームはケータム・スポーツとは関係がないので、活動には支障がないと表明していたが、ケータハム・スポーツが破産申請したことにより、ケータハムのF1マシンも差し押さえられて、工場を出ることができない状況である。 来週のアメリカGPに必要な機材は今週末に、共同の輸送用飛行機で運ばれる。それに間に合わないと、自分達で輸送機をチャーターして運ぶ必要があり、それには高額の費用が必要になるので、今のケータハムにそれを負担する余裕はない。だからその期限に間に合うように機材を運びこまないと事実上参加は難しくなる。 だがここにきて更なる不思議な事実が表面化してきた。現在の経営陣は、前オーナーであるトニー・フェルナンデスから株式の譲渡がされていないと発表したのだ。しかしトニー・フェルナンデスは資金が支払われていないので、株式の譲渡をしていないだけであると発言。ますます話が混沌としてきた。 ここで話を少し整理しよう。我々が知っているのは7月にトニー・フェルナンデスから新しいオーナーへチームが売却された事実である。だが新しいオーナーは資金を支払ったのに株式が譲渡されていないといい、トニー・フェルナンデスは資金が払われていないという。どちらの言い分が正しいのであろうか? 通常、企業の株式を譲渡する場合は、現金や株式と交換するのが一般的である。支払いの方法も一括払いもあれば分割払いもある。 7月のチーム譲渡からもう3ヶ月が経過している。もし新オーナーがお金を振り込んでいるのに、株式が譲渡されていないのあれば、普通裁判に訴えるのが一般的である。だが彼らが訴えられないのは、ずばりお金を支払っていないからであろう。いくら面の皮が厚くても金も払ってないものをくれということはしない。一応彼らも訴えるとは言っているが、それならそれ以前に訴えているはずで、実行に移すかどうかは疑問である。 想像の域を出ないが、新しいオーナーは買収契約をして、チームを運営しながら、新たに資金を提供してくれる団体を探していたのではないだろうか。そうでなければ、株を譲渡されない状態でチームの運営資金を提供するはずがない。 そう考えると可夢偉の参加がいつもGPの直前にならないとわからなかったのも、新しいペイドライバーを探していたのも納得がいく。彼らにはチームを運営していくお金が必要だったのである。また従業員を強引にリストラしたのも、この理由なら理解できる。 そしてこの資金を提供する団体というのが、新規参戦の申請済みのルーマニア資本だったのではないか。このルーマニア資本のチームにはコリン・コレスが関わってきた。そうするとなぜコレスがケータハムの運営に関係したのか理解できるではないか。そして最近、コレスがGPに来ていないのは、その資金を求めるためであったと考えられる。 最近、チーム代表になったマンフレッド・ラベッシは上司から仕事を止めて撤退するように指示されており、もうその職にはないと表明している。買収した投資会社は完全に手を引き、今後は今も株主であるトニー・フェルナンデスが経営すると発言している。 ここまで来るともうケータハムF1チームの存続は難しい。もし誰かが借金の一部を支払うというウルトラCがあれば、アメリカGPに参加できるであろうが、これだけひどい状態の組織にお金を投資する人は誰もいないだろう。そしてアメリカGPに参加できなければ、契約不履行で今後のレースに参加することは難しくなる。 ここまでくると可夢偉が乗るとか乗らないとかいう以前の問題になってきた。可夢偉がドライブするしないの前にケータハムF1チームが存続できるかどうかという問題である。残念ながらケータハムF1チームの命運は尽きようとしている。