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ルノーチームは復活するのか?

Renault-001-s ルノーはF1からの撤退と同時に自分達のチームを持つことを検討していると伝えられている。この正反対のプランをどう理解すれば良いのだろうか。 これはF1に対する根本的な価値の問題になる。ルノーは自社のブランド価値を上げるためにF1に参戦している。少なくとも建前上はそうである。 だが実はエンジンを供給しているだけだと、メディアでの露出は多くない。実際、2013年まで4連覇したレッドブル・ルノーではあるが、世間的にはレッドブルとベッテルが4年連続チャンピオンになったと記憶されている。 あと10年もすればエンジンサプライヤーがどこだったのかなどと記憶しているのは、私みたいなF1オタクくらいのものである。 つまりF1にエンジンを供給しているだけだと、ブランド価値を上げる意味では美味しくない。やはりF1はチームとして参戦しないと、その果実を味合うことはできない。 だから彼らとしては自分達の名前を冠したチームで参戦したいという希望がある。それに昨今は開発やテストの規制により、チームの運営費用も下がってきた。ルノーが自分達で参戦していた頃より半分以下になっている。 しかもチームにはF1の収益の一部が分配金の形で環流されてくる仕組みもある。だからチーム運営費を全額ルノーが負担する必要もない。複雑なパワーユニットを開発する費用を考えると、チーム自体の運営費用は相対的に低い。 それにメルセデスがPUを自分達のチームに搭載し、成功しているのも刺激になっているはずだ。これは技術的な優位面もあるが、マーケティング面でも効果は大きい。 ではルノーが自分達でチームを運営するかどうかは、どうして決まるであろうか。それはスポンサーがつくかどうかではないかと考えている。 トロ・ロッソと交渉しているのはチームはルノーが買収するが、スポンサーはレッドブルで継続することを狙っていると思われる。噂に出ているマノーはリソースがあまりにも限られているし、分配金の額も少ないので、現実的なルノーの買収候補ではないだろう。 ルノーは撤退するのか、PUだけを供給するのか、自分達のチームを持つのか。そのどれが一番費用対効果が高いのかを考えて、将来のことを決定する。そのタイムリミットは今年末になる。 というのもレッドブルとルノーの契約は2016年末までである。契約延長交渉はその前から進められるのが通常であるし、レッドブルがルノー以外のPUを搭載するのであれば、開発期間も問題もあるので1年前の契約延長は必須である。 レッドブルとしてはルノー以外のPUの選択肢があれば検討したいところであるが、現実的な選択肢はない。メルセデスがレッドブルにPUを供給するとは考えにくいし、今年のホンダの惨状を見て契約するチーム代表はいないだろう。 ルノーとレッドブルは今、出口のない迷路に迷い込んでしまっている。
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