求められるペナルティー基準の明確化
最近では出ないレースがないくらい普通の存在になったペナルティー。そしてメキシコGPでもペナルティーがレース後の結果に大きな影響を与えた。
レース終盤、フレッシュなタイヤを履くベッテルとリカルドが3位のフェルスタッペンを猛追していた。そこで順位を守ろうとしたフェルスタッペンがターン1を曲がりきれずに、そのまままっすぐ進みショートカットしてしまった。
トラック上では3位フェルスタッペン、4位ベッテル、5位リカルドの順にフィニッシュした。
だがレース後、フェルスタッペンがショートカットしたことによりアドバンテージを得たとして5秒ペナルティーをもらう。
まずはペナルティーの前に大きな伏線があった。まずスタート直後、ブレーキングをミスしたハミルトンがターン1をショートカットし、アドバンテージを得た。
またロズベルグもターン1をショートカットしたが、これはフェルスタッペンと接触しており、大きなクラッシュを避けるためには止むをえなかった。
だがこの直後にVSCが導入されたので、ハミルトンの件はうやむやに終わってしまった。VSCが入ったのでアドバンテージを得たとはみなされなかったのだろう。
そしてレース終盤、フェルスタッペンをベッテルをさに追われる中、ブレーキングをミスしてターン1をショートカットした。だがターン2からコースに戻ったフェルスタッペンの後ろにはベッテルがいて、少なくともタイム的なアドバンテージを得てはいない。
もちろんハミルトンもフェルスタッペンもミスをしていながら順位は元のままであり、タイム的なアドバンテージはなくとも、順位的なアドバンテージを得ているという考えには同意する。
だが実はこれ以前にも追いかけられて前を走るマシンが、コースアウトしショートカットすることはたくさんあった。だが私の記憶が正しければペナルティーがでたケースはなかった。
後ろを走るマシンがミスしてショートカットし、順位を上げた場合は、順位を戻さなければペナルティーは間違いない。それがこれまでのFIAの公式な判断基準である。
だが前を走るマシンがショートカットしても、ペナルティーがないのも、これまでのFIAの公式な判断基準である。
最近のF1はオーバーテイクが非常に難しい。それはセミオートマチックのトランスミッションやカーボンブレーキなどにより、昔よりミスをする機会が少なくなったからである。昔はオーバーテイクが多くて、今は少ないのはそういう事情がある。
だから前を走るマシンがミスした時に順位を入れ替えないとペナルティーというのは理解ができる。理解できないのは以前は大丈夫だったことが、いきなりペナルティー対象となったことである。
これを機会にショートカットした際のペナルティー基準が明確化されることを望む。そうしないとまた表彰式の直前にバタバタしてしまうからであり、レースが終わり家に帰り着くと結果が変わっていたなどということをなくすためでもある。
- メキシコに沈む マクラーレン・ホンダ
- ロズベルグ レッドブルに助けられ王手