
楽勝に見えた中国GPでのハミルトンだったが、実はそうではなかった。
彼は金曜日にアンダーステアを訴えており、かなり深刻であった。これは珍しい現象である。最近はシミュレーションの技術が発達しているので、セッティングを大きく外すことは少ないからである。
上海でアンダーステアが出ると低速の回り込むコーナーでグレイニングが出る。そうなるとタイヤの寿命は極端に短くなり、勝利は難しい。
チームは金曜日の走行後にイギリスのファクトリーにデータを送り、原因を解析。それを元にハミルトンのセッティングを変更した。
ご存じのように土曜日は午前も午後も雨で、予選も雨の中でおこなわれた。つまりハミルトンは変更したセッティングが有効なのかわからない状態で、日曜日の決勝レースに臨んだ。
幸いにして変更したセッティングは素晴らしく、彼はスタートからレースをリードして、独走で優勝した。もし変更したセッティングが合っていなければ、ハミルトンの勝利はなかったかもしれない。
周りから見ると楽勝に見えるレースも、そうでないことは多い。楽に勝てるレースなどF1にはないのである。